24/5/22
多言語サイトのSEOの攻略ポイント7選!海外向けGoogle対策の基礎知識を解説
グローバル化に伴ってさまざまなものが多言語対応していますが、SEOも例外ではありません。いわゆる「多言語SEO」には、国内向けのSEOとは異なった知識やスキルが求められます。
そこでこの記事では、グローバルWebマーケティングのプロフェッショナルである弊社TheDigitalXが、多言語SEOを以下の観点からわかりやすく解説していきます。
海外向けGoogle対策の基礎知識を紹介しますので、多言語SEOを実施、検討している方はぜひ参考にしてください。
多言語SEOとは?
これまでは、日本語に特化したSEOを、日本語のWebサイトで実施するのがセオリーでした。
しかし近年ではグローバル展開に伴い、英語や中国語など、さまざまな言語において「横断的に」SEOを実施したいというニーズが増大しています。
当然、日本語特化のSEOとは求められる知識やスキルが異なるので、グローバルにWebマーケティングを実施していきたいなら、多言語SEOは身につけておきたいSEO領域です。
海外SEOにおける多言語サイトの重要性
多言語SEOは、海外向けのサイトを構築・運営する際にも重要な要素です。
検索エンジンは、ページやコンテンツの有用性だけでなく、言語や国などのさまざまな要素を総合的に評価した上で検索結果に表示しています。
そのため、ただ「日本向けのサイトを多言語で直訳したページを作る」だけでは、効果的なSEO対策とは言えません。
国内と国外では検索キーワードの傾向が異なるため、その国特有のキーワードで検索されたときにヒットしにくく、ターゲットがサイトを見つけにくくなってしまうのです。
さらに、すべての国がGoogleの検索エンジンを使っているわけではなく、独自の検索エンジンが主流である国もあります。
【Google以外の検索エンジンを使っている国の例】
韓国:「Never」が約60%を占める
中国:「Baidu」が約56%を占める
ロシア:「Yandex」が約70%を占める
国ごとにローカライズしたSEO対策が必要になるため、多言語SEOをおこなう際は、多角的な観点から設計することが重要です。
Googleが評価する多言語サイトのURL構造
Google向けの多言語SEOを意識する場合は、以下がポイントになります。
多言語のページであることを検索エンジンに知らせる(hreflangの設定)
1つのページに複数言語を併記しない(ページ単位で分ける)
ユーザーの言語設定による自動リダイレクトは避ける
ターゲットとなる地域を指定する(URL構造を明確にする)
URL構造を要件に応じて使い分ける
多言語SEOに向かないサイトURLの構造
Googleに評価されにくいURL構造は以下の通りです。
URL構造 | URLの例 |
---|---|
URLパラメータ方式 | ○○.com?loc=us ○○.com?loc=de ○○.com?loc=sg |
ファイル名方式 | ○○.com/us.html ○○.com/de.html ○○.com/sg.html |
「URLパラメータ方式」は、URLの「?」以降にパラメータとして言語を設定する古い方式のことを指します。この方式では、ドメイン・サブドメイン・サブディレクトリのどの側面からも言語識別ができず、地域ターゲティングもできません。
また、「ファイル名方式」のURL構造も、URLパラメータ方式と同様の理由で多言語SEOには不向きであるといえます。
多言語対応SEOの攻略ポイント7選
先述したように、「日本語Webサイトやコンテンツをそのまま翻訳すれば問題ない」と誤解している方も多いです。
しかし、このような機械的な対応では、多言語SEOとしては不十分でしょう。意識すべき多言語SEOの攻略 ポイントは以下の通りです。
言語ごとに「hreflang」タグを設定する
多言語WebサイトのURL構造を最適化する
検索するユーザーから近いサーバーを利用する
海外での検索環境を用意する
質の高いキーワード選定をおこなう
コンテンツの質を高める
SNSも同時展開する
多言語SEOでは、多言語対応はもちろんですが、コンテンツの質を高めるなどの基本的なSEO対策も重要になってきます。それぞれ詳しくみていきましょう。
言語ごとに「hreflang」タグを設定する
多言語SEOで最も重要なのが、ページごとの言語を指定し、それを検索エンジンに伝える「hreflang」タグの設定です。
hreflangは、「現在表示しているページの別言語URLを検索エンジンに伝える」 という役目を持っています。このタグはGoogleだけでなくその他検索エンジンにも有効です。
日本国内向けのSEOではまず話題にあがらないタグなので、知らない方も多いと思いますが、非常に重要な点なので必ず設定を行いましょう。
手順は下記の通りです。
言語ごとにページを作成する
ページごとに該当言語の「hreflangタグ」を記載する
それぞれのページを相互リンクする
「hreflang」タグの設定方法は、主に「Headタグ」「サイトマップ」の2つです。基本的にはHeadタグに記載しますが、大規模サイトでは管理をしやすくするために、サイトマップに記載することもあります。
多言語WebサイトのURL構造を最適化する
多言語SEOでは、「URL構造の最適化」も非常に重要です。Googleがオフィシャルに展開しているポータルサイト「Google検索セントラル」では、下記の3つのURL構造が推奨されています。
国別のドメイン
gTLDを使用するサブドメイン
gTLDを使用するサブディレクトリ
弊社The Digital Xが、実際に多言語サイトを運用していく中で最もおすすめしているのが「gTDLを使用するサブドメイン」での運用です。
gTDLを使用するサブドメインは、運用管理面・SEO効果がどちらも最大化できるメリットがあります。
ここでは、それぞれのメリットデメリットについて簡潔に解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
国別のドメイン
「国別ドメイン」を採用するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・地域に特化したSEOが可能・該当地域のユーザーから信頼されやすい |
---|---|
デメリット | ・国ごとにドメインを取得するので高コスト・ドメインオーソリティが分散する |
アメリカならば「example.us」、フランスならば「example.fr」のように、「国別のドメイン」を取得することは選択肢の1つです。
ただし、複数言語でWebサイトを展開する場合、言語ごとにドメインを取得する必要があり高コストなので、この点が大きなデメリットとして存在します。
gTLDを使用するサブドメイン
「gTLDを使用するサブドメイン」を採用するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・手軽に導入できる・地域ごとにサーバーを変更できる |
---|---|
デメリット | ・URLから地域を特定できない ・ドメインオーソリティが分散する |
続いて「gTLDを使用するサブドメイン」ですが、サブドメインを取得し地域ごとにサーバー契約を実施すれば問題ないので、手軽に導入できる点がメリットです。
また、該当地域に「物理的に近いサーバー」を使用することで、SEO効果を発揮することも明らかになっているため、地域ごとにサーバーを使えるのもメリットの1つだといえます。
gTLDを使用するサブディレクトリ
「gTLDを使用するサブディレクトリ」を 採用するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | ・ドメインオーソリティが共有されやすい・1つのドメイン内で管理できる |
---|---|
デメリット | ・地域ごとに特化しにくい・単一のサーバーで運用する必要がある |
最後に「gTLDを使用するサブディレクトリ」ですが、メインドメインの配下にサブドメインを配置するので、ドメインオーソリティが共有されやすいです。
結果的に、これまで築いてきた日本語サイトのドメインパワーをある程度引き継いだ状態で多言語運用できるので、メインドメインのパワーが強い場合に検討したいURL構造だといえます。
検索するユーザーから近いサーバーを利用する
海外向けのSEOでは、サイトがどのサーバーに所属するかも評価の対象です。
とくに、「ユーザーから距離が近いサーバーに所属している=ページの表示速度が早い=利便性が高い」と判断されます。
実際の現地の声(弊社社員より) これを聞くと、「すでに日本のサーバーを持っているが、対象国のサーバーに乗り換えるべきか?」と悩む方も多いでしょう。結論から言うと、物理的に距離がある場合は検討すべきです。不安に思う場合は、お気軽にTheDigitalXまでご相談ください。 |
海外での検索環境を用意する
同じGoogleでも、海外の検索エンジン(例:google.us)と日本の検索エ ンジン(google.co.jp)はサーバーが異なります。
そのため、日本からgoogle.usで検索したときと現地から検索したときでは、検索結果が異なる特徴があるのです。
多言語SEOをするなら、海外の検索環境を日本で整備する必要があります。
具体的にはVPNまたはahrefsなどの外部ツールを使用することが求められるでしょう。
VPN | 仮想プライベートネットワーク 接続を暗号化してIPをマスクし、別の場所(国)からアクセスしているように見せる |
---|---|
ahrefs | ドメイン・URL単位で対象サイトのSEO調査ができるツール 地域別に現地のキーワード選定ができる |
常に現地においてどのような検索結果になるのか、しっかり把握してお くことが大切です。
質の高いキーワード選定をおこなう
ここからは、基本的なSEOにも絡んでくる内容です。
多言語SEOでは、ターゲット国にローカライズしたキーワード選定が重要になります。
現地の競合を調査し、キーワードの特徴と傾向を掴むことが最適化のカギとなるのです。
国・言語別のキーワード選定は、以下のツールなどで絞り込みで きます。
また、キーワード選定時にチェックすべきポイントは以下の通りです。
検索ボリュームの規模
関連語
競合分析からわかるユーザーのニーズ
国によっては同じ言語でも言い回しが違ったり、独特のスラングがあったりします。
これらの違いや地域性は自分で知っていくしかないため、難しいようならネイティブの監修を受けるのがいいでしょう。
コンテンツの質を高める
多言語SEOを実施する上では、「コンテンツの質を高める」ことも重要です。コンテンツの質に関するポイントを下記にまとめました。
地域に特化した情報を盛り込む
翻訳の質を高める
各言語における検索行動やキーワード傾向を理解する
国内のSEOでは文章や情報の質を高めるのがコンテンツの質につながりますが、多言語SEOの場合はここに「翻訳の質」も加わります。
日本語コンテンツの質が高くても、翻訳が不適切だとサイトを訪問したユーザーはもちろん、検索エンジンからも正しく評価されません。
Googleのガイドにも「自動翻訳したページが検索エンジンにクロールされないようにしてください」とあるため、現地ネイティブな翻訳を意識しましょう。
実際の現地の声(弊社社員より) まだ多言語SEOは普及途中なので、「日本語記事をそのまま翻訳する」といった画一的な対応でも、当面はSEO効果が得られる可能性があります。しかし、多言語SEOが普及してくると、「コンテンツの質」で勝負する必要があるので、はじめからコンテンツの質にこだわることを意識しましょう。 |
SNSも同時展開する
日本国内におけるSEOでは当たり前になっている「SNSの活用」は、多言語SEOでも効果的です。
しかし、日本と同様の方法論では高い効果を得られない可能性があるので、下記の点に注意しましょう。
該当地域で流行しているSNSを使用する
日本発だからからこそできる活用をする
費用対効果を検討した上で実施する
SNSの運用は日本国内だけでも膨大なリソースを消費するので、多言語、多地域で運用するコストを事前に見積もっておくことが求められます。
多言語SEOを攻略する上での注意点
多言語SEOは国内向けのSEOとはさまざまな部分が異なるため、注意が必要な点が多数存在します。
機械翻訳に頼りすぎない
該当国の情報収集を怠らない
「日本目線」にならないように気をつける
そのなかでもとくに重要な上記3点について、詳しく見ていきましょう。
機械翻訳やプラグインに頼りすぎない
多言語SEOでありがちなのが「機械翻訳でコンテンツを複製する」ようなコンテンツ作成を行うことです。
いうまでもなく、現代SEOの本質は「コンテンツの質」にあるので、日本語を使って日本向けに作成された記事を機械翻訳するだけでは、競合に勝てない可能性が高いでしょう。
もちろん、機械翻訳の精度は日進月歩の世界なので、有効に活用できれば大きな武器になります。
したがって、「コンテンツによって人と機械を使いわける」といった運用ができると良いでしょう。
該当国の情報収集を怠らない
多言語SEOを実施するケースでは、必ず「ターゲットとなる国」が存在するはずです。
その国に関する情報収集を怠ると、効果的な多言語SEOが実施できないので、最低限、下記の点を事前に把握しておくと良いでしょう。
ローカル情報
慣習や流行
ドメインオーソリティのあるWebサイト
とくに「ドメインオーソリティのあるWebサイト」について把握しておき、効果的なバックリンクの獲得ができると多言語SEOへとつながります。
「日本目線」にならないように気をつける
私たち日本人が多言語SEOを実施するとき、「日本目線」になってしまうのは避けられません。
しかし、できる限り日本目線ではなく「該当国目線」に立つことを心がけましょう。
たとえば、日本国内では高速インターネットが普及しているので、情報やデザインがリッチなWebサイトやページでも問題なくアクセスできます。
しかし、国によっては脆弱なインターネット環境であることが珍しくなく、日本と同様なリッチなWebサイト、ページではユーザービリティが悪化する可能性もあるのです。
こういった「日本での当たり前」が海外では通用しないことも珍しくないので、可能な限り該当国の目線に立つことが重要です。
多言語SEOに関するよくある質問
最後に、多言語SEOに関するよくある質問を紹介します。
同じ英語圏でも国別にページを分けるべきですか?
海外SEOと国内SEOの対策の違いを教えてください。
英語SEOの攻略ポイントについて知りたいです。
アメリカ向けのSEO対策のコツはありますか。
オーストラリアSEO対策に使える検索エンジンを教えてください。
マレーシア向けのSEO対策のコツはありますか。
ベトナムSEO対策の現状やトレンド情報が知りたいです。
同じ英語圏でも国別にページを分けるべきですか?
同じ「英語」を使う英語圏であっても、国ごとにhreflangを設定し、それぞれページを分けるのがいいでしょう。
Googleのガイドにも「ページを分けて作成することで、対象国でのページランキングが向上する」と記載されています。
ただし、まったく同じ内容のコンテンツだと、Googleから「重複コンテンツ」としてクロールから弾かれてしまう可能性もあるでしょう。
その際は、優先すべきバージョンを決めておき、すべての重複ページに対して「rel=“canonical”」要素を追加し、ページごとに任意のhreflangを設定してください。
海外SEOと国内SEOの対策の違いを教えてください。
海外SEOと国内SEOの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。