オーストラリアマーケティングの現状とトレンド｜オンライン・オフライン双方へのアプローチがコツ

オーストラリアは日本に最も近い英語圏です。教育水準や医療水準が高く、世界で最も暮らしやすい都市として知られています。世界有数の親日国でもあるオーストラリアに、ビジネス進出したいと考えている企業の方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、デジタルマーケティングに18年以上携わってきた弊社TheDigitalXが、オーストラリアにおけるマーケティングのポイントについて解説していきます。

• オーストラリア市場の基礎データ

• オーストラリアにおける消費者の特徴

• オーストラリアのオフラインマーケティングの傾向

• オーストラリアのオンラインマーケティングの傾向

さらに、オーストラリアマーケティングに成功するための勝ち筋や、すでに成功している日系企業の事例も紹介しますので、ぜひ戦略立案にお役立てください。

オーストラリアのマーケティング基礎データ

まずは、オーストラリアのマーケティング基礎データからみていきましょう。

参照：外務省「オーストラリア連邦基礎データ」

オーストラリアは、日本の約20倍にもなる広大な国土を有している国です。多様な産業が発達していますが、なかでも商業・金融・外食・情報通信・サービス業などの第三次産業がGDP全体の7割を占めています。

参照：statista「オーストラリア: 2019年から2029年までの実質国内総生産 (GDP) 成長率」

オーストラリアの経済は1991年から28年間連続して右肩上がりの推移を続けており、堅調に成長している市場です。パンデミックの影響で一時はマイナスに推移したものの、2020年度には以前の水準まで回復しています。その理由としては、先述した第三次産業などの国内市場が強い消費意欲を持っていることが挙げられるでしょう。

人口増加で伸びしろのある市場

政治や経済が安定しているオーストラリアは、住みやすい国として他国からも注目されています。政府の移民受け入れ政策や自然増加により、人口増加は今後も継続する見通しです。DATAREPORTALのデータによると、2024年時点での総人口は2,657万人ですが、50年後には4,000万人に達すると予測されています。

また、オーストラリアにおける人口の年齢中央値は比較的若く、37.7歳です。高齢化社会である日本とは10歳以上の差があるため、今後も経済成長が期待できます。以下は、オーストラリアにおける国民一人当たりのGDP推移です。

参照：statista「オーストラリア: 1989年から2029年までの一人当たり国内総生産 (GDP) の現在の価格」

2024年時点における一人当たりGDPは65,565米ドルであり、2029年には76,708米ドルまで推移する見通しです。日本における一人当たりのGDPは2024年時点で3,3138米ドルであるため、オーストラリアの市場がいかに魅力的ががわかります。

先進的なデジタル・インフラ環境がある

オーストラリアには、日本よりもはるかに先進的なデジタル・インフラ環境があります。

• 連邦政府の行政サービスデジタル化

• 公共施設におけるIT技術活用

• キャッシュレス化社会

日本では2021年にデジタル庁を発足しましたが、オーストラリアでは6年も前から同様の施策をおこなってきました。より整ったデジタル・インフラ環境のあるオーストラリアは、デジタルマーケティングやeコマースに最適な市場だといえるでしょう。

参照：一般財団法人 自治体国際化協会「CLAIR REPORTNo.534」

オーストラリアにおける消費者の特徴

ここからは、オーストラリアにおける消費者の特徴について解説していきます。以下は、オーストラリア人の週間平均所得の推移です。

参照：TRADING ECONOMICS「Australia Average Weekly Wages」/サザンクロス・プロモーションズ「オーストラリア人の現地での消費動向」

週間換算なのは、オーストラリアの給与週間が週給制であるためです。オーストラリア人の週間所得は年々右肩上がりで推移しており、付加価値のある商品への需要も高まっています。オーストラリア現地における消費者の特徴は以下の通りです。

1. 環境や健康を意識した選択

2. 多様な文化への関心・理解

3. 高品質かつ細部までこだわった製品を好む

また、オーストラリア現地の人々の中で、最もオンライン購入に寛容なのは30代の男女です。現地の人々は、価格比較やリサーチもオンライン上でおこなっている傾向があります。

環境や健康を意識した選択

オーストラリアの人々は、サスティナビリティやウェルネスへの関心が高い傾向があります。「環境にやさしく持続可能か」というサステナビリティの有無に着目する層に対しては、グリーン認定や持続可能性をアピールする、生産プロセスや労働慣行の透明性を高めるなどの施策が有効です。

また、現地の消費者は健康やウェルネスへの関心が高い特徴もあります。食品・美容・パーソナルケアなどの分野においては、ヘルシー・オーガニック・ナチュラルを意識した商品の好感度が高い傾向です。さらに、社会的貢献度の高い企業・ブランドなども高く評価されています。

多様な文化への関心・理解が高い

オーストラリアは多国籍国家であることから、海外製品に対しても興味指数が高い傾向です。現地人のニーズや基準、好みを満たすものは受け入れられやすい特徴があります。

また、日本文化への敬意や親和性も高く、食文化や伝統工芸などに興味の高い現地人が多いため、オーストラリアは日系企業にとって魅力的な市場です。インバウンド需要も高いので、現地に進出するメリットは大いにあるでしょう。

高品質かつ細部までこだわった製品を好む

オーストラリアの人々は、大量生産品よりも丁寧に作られた品質のいいものを好みます。親日国であるオーストラリアでは、高い技術を施した日本製品が注目されやすい傾向です。日本ならではの品質やこだわりをアピールすれば、商品やサービスに興味を持ってもらいやすくなります。また、社会的地位が高い層ほど、付加価値のある商品への需要があるといえるでしょう。

オーストラリアのオフラインマーケティングの特徴

オーストラリアにおけるオフラインマーケティングの特徴は以下の通りです。

1. TVや新聞などのマスメディア広告

2. 展示会やイベントへの出展

3. 現地メディアへのPR

4. 販売促進（セールスプロモーション）

TVや新聞などのマスメディア広告

オーストラリアでは、TVや新聞などのマスメディア広告も顕在です。マスメディア広告を活用すれば、幅広い層の消費者に向けた認知拡大が期待できます。マスメディアに広告を出稿する際は、以下の項目に留意して、自社に最適な出向先を選定しましょう。

• ターゲット層（視聴者層・読者層）

• 利用者数（視聴率・発行部数）

• 広告出稿にかかるコスト

展示会やイベントへの出展

展示会やPRイベントなどは、顧客と直接会話できるメリットがあり、ターゲット層に効果的にアプローチできるのが特徴です。現地には、「World Travel Expo」や「Matsuri Japan Festival」など、日系企業も参加しやすいイベントがあります。

イベントは特定のテーマに沿って開催されるため、来場者は優秀な見込み顧客になり得ます。製品のこだわりや品質に興味関心が高い現地人と、直接商材のPRができるイベントや展示会は、相性が良いといえるでしょう。

現地メディアへのPR

オーストラリアでは、現地メディアへのPRも一定の効果があります。「PR」は、プレリリースや記者会見など、現地メディアへの露出でユニークな取り組みを発信して注目を集めるマーケティング手法です。ただし、取り上げてもらえるかは相手の反応次第になるため、不確実性は否めません、

販売促進（セールスプロモーション）

オーストラリアでは、上記に当てはまらないような、さまざまなセールスプロモーションも盛んにおこなわれています。セールスプロモーションとは、オンラインクーポンや懸賞キャンペーンなど、消費者にとってメリットのある施策を打つことで興味関心を高める手法です。先述したオフラインマーケティングと併用することで、より高い効果を発揮します。

オーストラリアのオンラインマーケティングの特徴

DATAREPORTALのデータによると、オーストラリアにおけるインターネットユーザー数は2,521万人で、これは総人口の94.9％に達します。日本の普及率が84.9％であることからも、オーストラリアがIT先進国であることが見て取れるでしょう。

オーストラリアにおける主なオンラインマーケティングは以下の通りです。

1. SNSを活用したマーケティング

2. インフルエンサーマーケティング

3. オンライン広告マーケティング

SNSを活用したマーケティング

オーストラリアの人口・インターネット市場規模は日本よりも小さいですが、普及率は日本よりも高い傾向があります。これは人口の86.7％が都市部に居住しており、インターネットに日常的に触れている人が多いことが理由です。

オーストラリアの人気SNSについては、以下の表をご覧ください。

参照：DATAREPORTAL「デジタル2024:オーストラリア」

また、オーストラリアにおけるSNSの主な使い方は以下の通りです。

• コミュニケーション

• コネクション

• エンターテインメント

• 情報収集の手段

Facebook・Instagram・YouTubeではエンタメを楽しむ層が多く、面白い広告やコンテンツが拡散されやすい特徴があります。とくに18～39歳のユーザーは動画コンテンツに惹かれやすいため、マーケティングに大いに活用できるでしょう。

詳しい内容については、以下の記事で紹介しています。

「【2024年最新】オーストラリアのSNS事情｜人気TOP5とマーケティング成功のコツ」

インフルエンサーマーケティング

オーストラリアの人々は、身近な存在の評価を行動基準にする傾向があり、口コミや個人ブログから情報収集することも多いです。そのため、SNSマーケティングに関連して、インフルエンサーを起用したマーケティングをおこなうのも効果が見込めます。

オンライン広告マーケティング

オーストラリアでは、リスティング広告やSNS広告、動画広告なども効果が見込めます。これらのオンライン上の広告マーケティングは、ターゲットを絞った認知拡大に最適です。リスティング広告や検索広告ならGoogle、SNS広告ならFacebook・Linkdlnがプラットフォームに適しているでしょう。また、商品やサービスのブランディングをおこなう際は、Instagramが最適です。

詳しい内容については、以下の記事をご覧ください。

「【2024年版】オーストラリアのデジタル広告の市場と現状を解説」

オーストラリアマーケティングで成功するコツ

オーストラリアマーケティングで成功するコツは以下の通りです。

1. 多民族・多言語国家を意識したアプローチ

2. 現地ならではの名称やトレンドを把握する

多民族・多言語国家を意識したアプローチ

オーストラリアでは、ネパール・インド・パキスタン・イラク・フィリピン系の移民が増加傾向にあり、2021年時点ですでに総人口の51.5％を占めています。そのため、マーケティングの際は、文化的背景や言語特性の違いを意識してアプローチすることが求められるでしょう。

参照：JETRO「オーストラリアで人口増、移民が全人口の5割に」

現地ならではの名称やトレンドを把握する

オーストラリアマーケティングを成功させるには、ローカライズやトレンドの把握がカギとなります。オーストラリア現地と日本では、一般的な名称が異なるケースがあることに留意しなければなりません。たとえば、同じものを指す言葉でも、日本では「日本酒」、オーストラリアでは「Sake（酒）」と表記されるといった違いがあるのです。

また、スラングやトレンドワードなども敏感にキャッチすることで、広告のリーチ数やエンゲージメントを高められます。これらは現地に精通していないと発見できないため、ネイティブによる分析・監修が欠かせません。

【日系企業】オーストラリアマーケティングの成功事例

ここからは、オーストラリアマーケティングに成功した先行企業の事例を2つ紹介していきます。

• 新潟県妙高高原のインバウンドマーケティング

• さぬき麵機のオフラインマーケティング

その他の事例については、以下の記事でも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

「国内企業の海外マーケティング事例4選｜成功事例から海外マーケの最前線を解説」

新潟県妙高高原のインバウンドマーケティング

新潟県にある妙高高原のインバウンドマーケティング事例です。11年かけてオンライン・オフライン双方のマーケティングに着手した結果が功を成し、現在ではオーストラリア人に人気のスキーリゾートとして名を馳せています。

妙高高原のおこなった具体的なマーケティングは以下の通りです。

• オーストラリア現地のスノーエキスポに出展し

• 現地の視察や旅行会社めぐりをおこなう

• オーストラリア現地メディアの招聘

• ホームページの多言語対応　など

参照：一般財団法人 自治体国際化協会「妙高の赤倉にオーストラリア人がやってくる、人気になった理由は？」

さぬき麺機のオフラインマーケティング

製麵機のトップメーカーであるさぬき麵機のオフラインマーケティング事例です。海外への販路拡大を目指し、以下のオフラインマーケティング施策をおこないました。

• アメリカやオーストラリアの展示会に毎年参加

• 海外における開店希望者へ向けたワークショップの開催

現在は、国内外の7,000社に対して製麺機の販売をおこなう、グローバルな企業に成長しています。海外の開店希望者向けの講習会には4万人以上の受講者が応募しており、海外対応機の開発・販売にも力を入れている形です。

参照：さぬき麵機株式会社「わが社の挑戦！」/「Fine Food Australia 2023」

オーストラリアマーケティングに関するよくある質問

最後に、オーストラリアマーケティングに関するよくある質問を紹介していきます。

• オーストラリアのデジタル広告事情について知りたいです。

• オーストラリア進出におすすめの越境ECプラットフォームは？

• オーストラリアにおける人気SNSは？

• オーストラリアにおける主要検索エンジンは？

オーストラリアのデジタル広告事情について知りたいです。

オーストラリアのデジタル広告におけるトレンド情報は、以下をご覧ください。

「【2024年版】オーストラリアのデジタル広告の市場と現状を解説」

オーストラリア進出におすすめの越境ECプラットフォームは？

オーストラリア進出におすすめの越境ECプラットフォームについては、以下で解説しています。

「【2024年版】オーストラリアの越境EC市場の現状と注意点を解説」

オーストラリアにおける人気SNSは？

オーストラリアの主要SNSについては、以下をご覧ください。

「【2024年最新】オーストラリアのSNS事情｜人気TOP5とマーケティング成功のコツ」

オーストラリアにおける主要検索エンジンは？

オーストラリアの主要検索エンジンについては、以下の記事で解説しています。

「オーストラリアの検索エンジンランキングTOP5！オーストラリアのSEOを攻略するポイントとは？」

オーストラリアマーケティングの戦略立案＆支援はTheDigitalXまでご相談ください

経済が安定しており、国内消費も盛んなオーストラリアは、日系企業の進出先に最適な市場を持っています。しかし、他民族・多言語国家であることから、適切なローカライズがなければ効果的なマーケティング施策にはなり得ません。

弊社TheDigitalXでは、グローバルマーケティングのプロフェッショナルの観点から、貴社のニーズに合った戦略立案が可能です。現地のネイティブなマーケターと共同し、的確なサポートとローカライズを提供いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。