2024年8月28日
BtoB越境EC参入のススメ|メリットや課題・成功するための勝ち筋について解説
越境ECとは、インターネットを活用した海外物販で、国際的な電子取引を指します。顧客に利便性を提供しつつ、売り手のコスト削減が実現できるのがメリットです。近年では、BtoB企業のEC化率が増加傾向にあり、さまざまな企業が越境ECで海外進出を検討しています。
「BtoB企業が越境ECに参入するメリットとは?」
「BtoB越境ECでつまづきやすいポイントは?」
「BtoB越境ECのサイト構築手段は?」
この記事では、デジタルマーケティングのプロフェッショナルの観点から、弊社TheDigitalXが上記の疑問を解消していきます。BtoB越境EC戦略を成功に導く勝ち筋もあわせてご紹介しますので、参入を検討している方は必見です。
BtoB越境ECとは|BtoCとの違いとサイトの種類
BtoBとBtoCの違いについては以下をご覧ください。
BtoB eコマース | BtoC eコマース | |
---|---|---|
顧客 | 企業間取引 | 企業対消費者 |
マーケティングコンテンツ | 詳細な製品情報とロジックによる訴求 個々の顧客関係に尽力 | 興味関心を引くクリエイティブな訴求 スピーディーなチェックアウトを重視 |
サポート | 顧客生涯価値が高いためサポートインフラを強化 複雑な問題を迅速に解決するエージェントを用意 | シンプルな質問に対応できるサポートチーム |
価格 | 交渉の可能性を想定した柔軟な価格設定 | 固定価格 |
注文サイズ(規模) | 顧客数<注文規模 最低価格帯の設定が必要 | 特定の商品に需要が集中するため上限の設定が必要 |
サイトデザイン | シンプルかつ清潔感のあるデザイン | クリエイティブな目を引くデザイン |
新規顧客の開拓という側面は同じですが、出店目的やターゲット層が異なる傾向です。BtoBの場合は、既存のビジネスをECに置き換えることで、業務の効率化を図る側面もあります。BtoBには「クローズド型」と「スモール型」の2種類がありますが、まずはそれぞれの越境ECサイトの特徴についてみていきましょう。
クローズドBtoB型の越境ECサイト
クローズドBtoB型の越境ECサイトの特徴は以下の通りです。
主に既存の取引先との効率的な取引が目的
ECサイトは非公開であり、特定の取引先のみがアクセスできる
信頼関係のある取引先に対して適切な与信枠を設定可能
顧客ごとに異なる価格設定が可能
販売可能商品も取引先ごとにカスタマイズ可能
非公開性により、売り手目線のデザインになりがち
クローズドBtoB型の越境ECサイトは、新規顧客の開拓ではなく、既存顧客との取引をスムーズにするために利用されます。取引先ごとに異なる価格設定や、購入可能な商品の種類をカスタマイズできるのが特徴です。
たとえば、大口顧客には割引価格を提供し、新規の取引先には通常価格を適用することもできます。このように、顧客の要望や自社の経営方針に応じて柔軟に対応できるため、業務の効率化が図れるのがメリットです。
しかし、この形式のサイトはクローズドであることからデザインが売り手目線になりがちで、使い勝手が悪くなるリスクに留意しなければなりません。
スモールBtoB型の越境ECサイト
スモールドBtoB型の越境ECサイトの特徴は以下の通りです。
主に取りこぼし受注の回収や新規顧客開拓、売上増加が目的
インターネット上で全世界に向けて公開される
新規の見込み顧客にもアプローチ可能
クローズドBtoB型のECサイトに比べて容易に構築できる
営業支援(SFA)や顧客管理(CRM)アプリケーションの導入も可能
従来のBtoB ECが「既存顧客向けの卸」に特化していたのに対し、スモールBtoB型のECサイトは、新規・既存問わず広範な顧客に対して販売するスタイルを取ります。そのため、BtoBサイトでありながらBtoC寄りのマーケティング戦略が求められるのが特徴です。
顧客管理は厳密ではなく、割引設定も少ないため運用の複雑さが軽減されます。さらに、最新のWeb施策も活用できるため、柔軟なマーケティング展開が可能です。これは、クローズド型のEDIシステムにはない利点でしょう。
【BtoB越境EC】注目されている理由と参入のメリット
参照:経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」
2022年における日本のBtoBのEC化率は37.5%、取引総額は420兆2,354億円です。どちらの数値も2020年から右肩上がりで、市場規模は年々大きくなっています。近年では、円安の影響から海外進出に舵を切る企業も増えてきているのが現状です。
ここからは、BtoB越境ECに参入するメリットについて詳しく解説していきます。
オフラインで販路拡大するよりも反応が良い
出店ハードルが下がったため販路拡大しやすい
コストを抑えた販路拡大が実現できる
受注機会の拡大が見込める
オフラインで販路拡大するよりも反応が良い
日本のBtoB企業における海外進出では、オフラインで実際に足を運ぶよりも、越境ECで参入する方が好感触な可能性があります。海外のコンベンションや展示会に参加しても、その場で決断できない日本企業の慎重な商習慣は、現地企業から「時間の無駄」と見なされがちです。
実際に、海外の担当者の多くはオンラインでのやり取りを好みます。一部対面でのコミュニケーションを重視する国もありますが、上記の理由から日本の企業は商談がまとまりにくく敬遠されがちです。そのため、BtoB越境ECの方が効率的かつ効果的な販路拡大手段だといえます。
出店ハードルが下がったため販路拡大しやすい
越境ECで参入することで出店ハードルが下がり、販路拡大が容易になる点もメリットです。従来のBtoB営業は、アポイントを取って営業先に出向くなど、時間とコストがかかるものでした。
しかし越境ECでは、インターネット上で自社の商品を世界中の企業に閲覧してもらえます。これまでアプローチできなかった企業にも少ないコストで情報を届けられ、新規顧客が獲得しやすくなるのです。
コストを抑えた販路拡大が実現できる
BtoB企業が越境ECを採用すれば、現地に法人や拠点を設立することなく、コストを抑えて販路拡大が実現できます。さらに、越境ECでは取引相手が入力したデータを自動で処理できるため、手入力が不要になり人為的ミスが減少するのもメリットです。この効率化により、コスト削減と同時に、広範囲な市場へのアプローチが可能になります。
受注機会の拡大が見込める
BtoB越境ECでは、ECサイトを利用することで24時間・365日注文を受け付けることが可能です。これにより、電話注文のような営業時間外に受注機会を逃すリスクが軽減されます。さらに、ECサイト上では複数の商品が掲載されているため、買い手が注文した商品に加えて他の商品にも興味を持つ可能性が高く、追加注文にもつながりやすいです。
BtoB越境ECにおける課題と注意点
ここからは、BtoB越境ECにおける課題点と注意点についてみていきましょう。
ECサイトの構築・連携にコストがかかる
属人化した業務フローや既存顧客へのフォロー
ターゲット国の関税や法律に留意する
日本企業が参入時につまづきやすいポイントなので、しっかり把握して対策してください。
ECサイトの構築・連携にコストがかかる
BtoB独自の商習慣と業務フローをECサイト上に反映させるためには、システムのカスタマイズが必要になるため、労力と金額面の両方にコストがかかります。とくにクローズドBtoB型のECサイトは、数千万~数億円規模での予算組みが必要です。
また、大手事業者の場合は、ECサイトと基幹システムの互換性も重視する必要があり、連携の方法やシステム機能の分担を慎重に決定しなければなりません。
属人化した業務フローや既存顧客へのフォロー
BtoB事業では顧客管理が属人化している部分が大きいため、EC化する際に業務の棚卸作業が必須となります。取引先ごとに異なる業務フローや割引率などの顧客データを、マニュアル化したりデータベース化したりして、把握できるようにしておかなければなりません。
また、既存顧客へのフォローも重要です。慣れ親しんだ方法からECサイト経由の発注に変わると、取引継続に難色を示す顧客も出てきます。そのため、マニュアルの準備やデモサイトを用いた操作説明など、受け入れてもらうための体制を整えておくことが大切です。
ターゲット国の関税や法律に留意する
BtoB越境ECを展開する際、ターゲット国ごとの関税や法律に留意することも重要です。各国や地域には異なる法律や規制があり、これを遵守しなければ事業活動にリスクが伴います。たとえば、EUでは「GDPR(一般データ保護規則)」が施行されており、個人データの取り扱いに厳しい規制が設けられているため、参入時は注意しなければなりません。
現地の法規制に違反すると高額な罰金が科される可能性があるため、正確に理解した上で必要な対策を講じることが大切になるでしょう。また、関税や輸送費も国ごとに異なるので、輸出入にかかるコストを事前に把握しておくことも重要です。
BtoB越境ECを成功させるための勝ち筋
BtoB越境ECを成功させるためのコツは以下の3つです。
EC市場が発展している地域をターゲットにする
ターゲット国に合わせて国内と戦略を変える
製品情報やコンテンツを充実させる
取引データをマーケティングの最適化に活用する
EC市場が発展している地域をターゲットにする
BtoB越境ECを成功させるためには、まずEC市場が発展している地域をターゲットにすることが不可欠です。とくに、中国・韓国・東南アジアなどは現在EC市場が急速に拡大しており、越境ECにおいて大きな成長が見込まれています。
これらの地域では、インターネットの普及や中産階級の増加により、オンラインでの取引が増加している傾向です。しかし、地域ごとに商品の需要が異なるため、自社の商品がその市場で求められているかどうかを事前にしっかりと調査し、ターゲット地域を慎重に選定することが大切になります。
東南アジアの越境EC市場については、以下の記事をご覧ください。
「【東南アジア越境EC】各国のEC市場規模と現状|主要プラットフォームと勝ち筋をご紹介」
ターゲット国に合わせて国内と戦略を変える
BtoB越境ECを成功させるためには、展開する国や地域に合わせて商品や広告を作りなおすことも重要になります。国や地域ごとに文化や価値観が異なるため、日本市場向けに作成した商品や広告がそのまま他国で受け入れられるとは限りません。
ターゲット市場が固まったら、その地域の文化や消費者の嗜好を深く理解し、商品や広告を再設計することが求められます。的確なローカライズによって現地市場での競争力が高まり、競合との差別化も図れるでしょう。
製品情報やコンテンツを充実させる
toBの顧客はtoCよりも購入金額が大きくなるぶん、商品リサーチを入念におこなう傾向があります。そのため、スペック・ブログ・F&Q・デモ動画など、製品に関する情報をロジカルな側面で充実させることが重要です。
また、顧客との結びつきを強めることも大切になります。ライブチャットウィンドウやクリックトゥコールボタンを搭載し、即時対応できるようなシステムを搭載するなどの工夫や企業努力も必要になるでしょう。
取引データをマーケティングの最適化に活用する
取引データを活用してマーケティング戦略を最適化することもポイントの1つです。売上・客単価・リピート率などの取引データを分析することで、顧客の購買行動や市場の傾向を把握しやすくなります。
この取引データを参照すれば、効果的なプロモーションや価格設定、商品ラインナップの調整などにも活かすことができ、収益性の向上も期待できるでしょう。
BtoB越境ECサイトの構築方法4選
ここからは、BtoB越境ECサイトの構築方法を4つ簡単に解説していきます。予算や人員コストと相談しつつ、自社のニーズにマッチした方法を選びましょう。
ASPの活用
パッケージECサイトのカスタマイズ
クラウドECのカスタマイズ
フルスクラッチ(完全オリジナルECサイト)
ASPの活用
ASP(Application Service Provider)を活用したBtoB越境ECサイトの構築は、手軽でコスト効率が高い特徴があります。ASPはSaaS型システムで、ブラウザから管理が可能であり、初期費用や月額料金が比較的安価です。このため、とくに予算が限られている企業に適しています。
しかし、カスタマイズ性が低く、基幹システムとの外部連携が難しい点がデメリットです。業務フローをASPに合わせられるなら、費用対効果の高いECサイト構築が可能になるでしょう。
パッケージECサイトのカスタマイズ
パッケージECサイトのカスタマイズは、すでに基本的なEC機能が実装されたパッケージシステムを、自社のBtoBニーズや業務フローに合わせてカスタマイズする方法です。この方法では、カスタマイズや基幹システムとの連携が前提となるため、費用は数百万円から数千万円に及ぶことがあります。
選定時には、自社の業務フローに合致し、類似事例があるパッケージベンダーを選ぶことが重要です。しかし、開発期間が長く、リリース時にはシステムが陳腐化するリスクがある点に注意する必要があるでしょう。
クラウドECのカスタマイズ
クラウドECは、ASPとパッケージの利点を兼ね備えたECプラットフォームです。システムを常に最新の状態に保ちつつ独自のカスタマイズが加えられ、さらに情報セキュリティが高い特徴があります。
初期費用や月額費用はパッケージと同程度ですが、長期的にはリニューアル費用が不要になるため、コストが低く抑えられる傾向です。ただし、クラウドECではソースコードが公開されていないので、これが企業方針に合わない場合には不向きでしょう。
フルスクラッチ(完全オリジナルECサイト)
フルスクラッチは、開発会社に依頼してゼロからECサイトを構築する方式で、完全に自社用にカスタマイズ可能な点が最大のメリットです。BtoBの独自フローに対応でき、システム連携や拡張性にも優れています。
しかし、開発費用が最も高額であり、ECサイト特有のノウハウが不足した開発会社に依頼すると、ユーザビリティが低くなったり古いデザインのサイトになったりするリスクがあります。最近では、パッケージやクラウドECの進化により、フルスクラッチの必要性が減少してきている傾向です。
BtoBの越境ECに関するよくある質問
最後に、BtoBの越境ECに関するよくある質問を紹介していきます。
アメリカ越境ECの勝ち筋が知りたいです。
シンガポールの越境ECの現状を教えてください。
オーストラリア越境ECの市場規模は?
ベトナム越境ECの人気Eコマースが知りたいです。
マレーシア越境ECの現状やトレンドについて教えてください。
インドネシアの越境ECに最適なプラットフォームは?
タイの越境ECや物販ビジネスにおける勝ち筋は?
アメリカ越境ECの勝ち筋が知りたいです。
アメリカ越境ECについては、以下の記事で詳しく解説しています。
「【アメリカ越境EC】2024年最新の米国EC市場!ビジネスに参入するためのポイントについて解説」
シンガポールの越境ECの現状を教えてください。
シンガポールにおける越境EC市場については、以下を参考にしてください。
「【2024年最新版】シンガポール越境ECの実態!市場動向や人気サイトランキングを大公開」
オーストラリア越境ECの市場規模は?
オーストラリアの越境ECについては、以下の記事で解説しています。
「【2024年版】オーストラリアの越境EC市場の現状と注意点を解説」
ベトナム越境ECの人気Eコマースが知りたいです。
ベトナム市場の越境ECや人気のプラットフォームについては、以下をご覧ください。
「【2024年版】ベトナム市場の越境ECで人気プラットフォーム4選を紹介」
マレーシア越境ECの現状やトレンドについて教えてください。
マレーシアの越境EC市場における現状やトレンドについては、以下の記事で解説しています。
「【2024年版】マレーシアの越境EC市場の現状|規制や税制も解説」
インドネシアの越境ECに最適なプラットフォームは?
インドネシアの越境ECに適したプラットフォームについては、以下で解説しています。
「インドネシアでの越境EC5選!インドネシア市場での勝ち筋とは?」
タイの越境ECや物販ビジネスにおける勝ち筋は?
タイの越境ECや勝ち筋については、以下をご覧ください。
「タイのおすすめ越境EC4選!タイの物販ビジネスの勝ち筋とは? 」
BtoB向けの越境ECを成功させたいならTheDigitalXにご相談ください
BtoB越境ECは受注機会の拡大と売上アップが期待できる手段です。ただし、サイト構築やシステム移行などに労力と人員的コストがかかるため、費用対効果を意識した戦略が求められます。
弊社TheDigitalXでは、デジタルマーケティングや越境支援に18年以上携わってきた経験から、貴社のニーズに合った越境EC戦略の立案が可能です。現地のマーケターと共同でサポートし、ターゲット国に合わせた的確なローカライズを提案いたしますので、BtoB越境EC戦略に不安のある方はぜひ一度ご相談ください。
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