2024年12月25日
【2024年最新】東南アジア越境EC|各国のEC市場規模と主要プラットフォーム
東南アジアにおけるeコマースは、近年急速に成長している注目の市場です。
日本のサービスやブランドへの関心も高いことから、越境EC参入を検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、18年以上の実績を持つTheDigitalXが、以下の疑問を解消していきます。
「東南アジア各国におけるEC市場規模は?」
「東南アジア越境ECに最適なプラットフォームは?」
さらに、越境EC参入時に把握しておくべき注意点や、東南アジア越境ECの勝ち筋についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
東南アジアの越境ECが今注目されている理由
今東南アジアにおける越境ECは、以下の3つの理由で注目されています。
急速に成長する経済と物価
越境ECにおいて、東 南アジアは非常に伸びしろのある注目の市場です。
東南アジアでは、経済成長と物価上昇の両方が急速に起きています。
以前は発展途上国のイメージが強かった東南アジアですが、ここ数年では大きく経済が成長しています。
2023年時点における東南アジア全体のDGP成長率は、昨対4.7%の成長率を維持しており、これは日本の「高度成長期」である1970年代後半に近い数値です。
また、東南アジアのインフレ率は上昇傾向であり、成長率が5%台に達している国も複数あります。このことからも、今の東南アジアがいかに勢いを持っているかがわかるでしょう。
IT普及によるEC需要の上昇
東南アジア諸国では、近年中産階級の台頭とスマホの所有促進によってインターネットが急激に普及しており、デジタル化が進んでいます。
そのため、実店舗からオンラインショッピングへの移行も急激に進んでいるのです。
かつては中国・日本・韓国がアジアにおける主要なeコマース市場でしたが、近年では東南アジアのeコマースも勢いを増しています。
2023年におけるstatistaのデータによると、東南アジアのeコマース市場は約1,390億米ドルであり、2025年までに大幅に増加する予測です。
またJFCの資料によると、2025年度には2021年度の2倍程度まで成長する見通しがあります。
SNSの利用率の高さ
国 | インターネット人口 (普及率) | SNS利用人口 (普及率) | SNS利用時間 |
---|---|---|---|
タイ | 6,321万人(88%) | 4,910万人(68.3%) | 2時間44分 |
マレーシア | 3,359万人(97.4%) | 3,070万人(88.5%) | 2時間48分 |
シンガポール | 579万人(96.0%) | 513万人(85%) | 2時間14分 |
フィリピン | 8,698万人(73.6%) | 8,675万人(73.4%) | 3時間34分 |
インドネシア | 1億8,530万人(66.5%) | 1億3,900万人(49.9%) | 3時間11分 |
ベトナム | 7,844万人(79.1%) | 7,270万人(73.3%) | 2時間25分 |
日本 | 1億440万人(84.9%) | 9,600万人(78.1%) | 53分 |
参照:DATAREPORTAL
東南アジアでは、SNS文化がしっかりと根付いていることから、越境ECマーケティングに向いている市場だといえます。
SNSとeコマースは親和性が高く、ライブコマースやインフルエンサーマーケティングと併用すれば、ターゲットへのリーチをさらに広げられるでしょう。
東南アジアは、SNSの利用率・利用者数がとくに高い地域です。メディア・動画コンテンツによるPRや、 ソーシャルコマースへの注目度も高く、SNSがECサイトへの入り口として重要な役割を果たしています。
詳しい内容については、以下の記事もご覧ください。
「【2024年最新】東南アジアの人気SNS5選!各国の事情やマーケティングのコツ」
【各国詳細】東南アジア越境ECの市場規模
ここからは、以下の東南アジア諸国におけるeコマース市場について詳しくみて いきましょう。
市場規模やインターネット利用率、主要ECサイトもあわせて紹介していきます。
どの国も、日本市場における成長率(9.23%)を上回っている勢いのある市場になります。とくに、越境ECで狙い目の国は、シンガポール・マレーシア・フィリピンです。
この3か国は比較的EC事業を展開しやすいので、ぜひ参考にしてください。
マレーシア
statistaのデータによると、マレーシアにおけるeコマース市場は、2024年に78億8,000万米ドルに達する予想です。
年間成長率は11.25%と非常に高く、その収益の多くが中国で生み出されています。
DATAREPORTALのデータを参照すると、マレーシアにおける総人口3,449万人のうち、97%がインターネットユーザーです。
このことからも、今後も伸び率のある市場だということが伺えます。また、マレーシアの主要ECサイトは「Shopee」「Shein」などのモール型ECサイトが人気です。
詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年版】マレーシアの越境EC市場の現状|規制や税制も解説」
シンガポール
statistaのデータを参照すると、シンガポールにおける2024年のeコマース市場は、50億4,000万米ドルに達する予測です。
年間成長率は10.76%であり、2029年までにユーザー数は490万人に達すると予想されています。
また、DATAREPORTALのデータによると、総人口603万人のうち96.0%がインターネットユーザーです。マレーシアと同様に、今後も成長が期待できる市場だといえるでしょう。
シンガポールでは「Shopee」がトップシェアで、次いで「Lazada」「Amazon」が人気です。
詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年最新版】シンガポール越境ECの実態!市場動向や人気サイトランキングを大公開」
「【シンガポールビジネス】日系企業進出のメリットと成功させるコツ」
フィリピン
statistaのデータによると、フィリピンにおける2024年の市場収益は、146億6,000万米ドルに達すると予測されています。年間成長率は11.27%であり、ユーザー数は2029年までに3,160万人に達する見通しです。
さらに、DATAREPORTALのデータによると、インターネット利用率は総人口1億1,820万人のうちの73.6%でした。
フィリピンは東南アジア諸国の中で日本に最も近い位置にあり、親日国家であることでも知られています。
地理的なメリットはもちろん、日本の商品が受け入れられやすいため、越境EC進出のハードルも比較的低いといえるでしょう。
タイ
statistaのデータを参照すると、2024年における市場の収益は、192億8,000万米ドルに達する予測です。
年間成長率は10.89%で、2029年までに2,240万人までユーザー数が拡大すると予測されています。
またDATAREPORTALのデータによると、インターネット利用率は総人口7,185万人のうちの88.0%でした。
これは、アジア諸国の中で、毎週ECを活用する習慣を持つ人口の割合が最も多いことも影響しているでしょう。
タイで人気の高いeコマースは「Lazada」で、2022年の時点で1,327万回以上ダウンロードされています。
インドネシア
statistaのデータによると、インドネシアにおける2024年のeコマース収益は、502億2,000万米ドルに達すると予測されています。年間成長率は9.57%で、ユーザー数は2029年までに9,910万人に達する見通しです。
DATAREPORTALのデータからは、総人口が2億7,870万人、インターネット利用率は66.5%であることがわかります。
さらに、携帯電話の利用者数が1億3,900万人であることを考慮すると、利用率はや や低いものの、ビジネスにおける市場規模は伸び率が期待できるでしょう。
またインドネシアでは、家電やモバイル用品をメインに扱うプラットフォーム「bukalapak」がとくに人気です。
2010年に設立して以来安定した人気を獲得しており、2019年時点でのユーザー数は月間7,000万人以上でした。
インドネシアにおける経済市場については、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年版】インドネシアのデジタルマーケティングのトレンドを紹介」
ベトナム
statistaのデータを参照すると、2024年におけるベトナムのeコマース収益は139億米ドルに達する見通しです。年間成長率は11.21%であり、2029年には236億5,000万米ドルまで成長すると予測されています。
DATAREPORTALのデータによると、ベトナムにおける総人口は9,919万人、インターネット利用率は79.1%です。
また、「Shopee」「Lazada」「Tiki」「Sendo」などのeコマースが人気を集めています。
詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年版】ベトナム市場の越境ECで人気プラットフォーム4選を紹介」
「【2024年最新】ベトナムビジネス進出のために知っておくべき基礎知識」
対象国別の対策言語
越境ECでは、対象国にローカライズした言語に対応することが大切になります。
以下は対象国ごとに必要な対策言語です。
対象国 | 対策言語 |
---|---|
タイ | タイ語 |
マレーシア | 基本的には英語 |
ベトナム | ベトナム語 |
インドネシア | インドネシア語 |
フィリピン | 基本的には英語 |
シンガポール | 基本的には英語 |
現地の声(弊社社員より) 東南アジアの中でも、英語が通じる国と通じない国があります。マレーシア・フィリピン・シンガポールは英語への対策のみで問題ないですが、タイ・ベトナム・インドネシアを対象とする場合は、現地語への対応・対策が必要です。 |
東南アジアにおける消費者の特徴
東南アジアECユーザーの消費行動における特徴は以下の通りです。
弊社が実際に現地へ赴き、感じたことも交えて解説していきますので、マーケティングにぜひ役立ててください。
日本製品・サービスへの信頼度が高い
東南アジアの消費者は日本製の製品・サービスに高い信頼を寄せている傾向です。
日本と東南アジアは古くからビジネスパートナーとして交流してきており、日本の貿易総額の約15%を占めています。
高品質な日本の輸入品は現地で人気が高く、各地で現地生産されるようになったケースも多いです。
とくにハイブランド・化粧品・食品・文具・カメラなどの精密機械が注目を集めています。
ファッションと美容・食品のカテゴリーが人気
東南アジアにおけるECの人気カテゴリーは、ファッション・美容・食品です。
statistaのデータによると、東南アジア全体における50%以上の消費者が、ファッションや美容(パーソナルケア)用品をオンラインで購入しています。
また、全体のうちの半数弱が食料品を購入していました。
SNS利用率が高いことが購買行動と密接に関連
statistaによると、東南アジアは、SNSのインフルエンサーが消費者に与える影響力が最も大きい地域です。
またこちらのデータからは、東南アジアの消費者がソーシャルコマースを新しい商品の発見やブランドの検討、商品の価格・口コミ調査などに活用していることがわかっています。
【TOP3】東南アジアで人気の越境ECサイトランキング
以下は、東南アジアにおけるオンラインマーケットプレイスの月間訪問数をランキングにしたものです。
順位 | オンラインマーケットプレイス | 東南アジアにおける月間訪問数 |
---|---|---|
1位 | Shopee(ショッピー) | 3億4,300万人 |
2位 | Tokopedia(トコペディア) | 1億3,700万人 |
3位 | Lazada(ラザダ) | 1億2,800万人 |
参照:Webretailer「東南アジアのオンラインマーケットプレイス:Eコマースのユニークな地域」
ここからは、東南アジアの越境ECに最適な、人気の高いTOP3のプラットフォームを紹介していきます。東南アジアにおける国別のECランキングに関しては、以下の記事もご覧ください。
「【2024年版】越境ECの国別ランキング9選!要注目の東南アジアのECも解説!」
1.Shopee(ショッピー)
シンガポールが運営する「Shopee」は、東南アジア最大の越境EC向けプラットフォームです。複数のアジア諸国へ同時販売ができ、顧客の問い合わせに出店者が直接対応する特徴があります。
2015年に設立して以来高い人気を誇っており、2020年時点での流通総額が4兆円弱を達成しました。日本からの出店は販売・リスティングにかかる手数料が無料であることから、低コストで参入できるのがメリットです。
Shopeeについての詳しい内容は、以下の記事もご覧ください。
「東南アジア最大のECモールShopeeとは?越境ECでのメリットや勝ち筋も解説」
2.Tokopedia(トコペディア)
2009年にインドネシアで創業した「tokopedia」は、中国のアリババグループからの出資を受けて、急速に成長しているCtoCマーケットプレイスです。17,000もあるインドネシアの島々における物流を促進する目的で設立し、現在1,200万店が加盟しています。
また、1ヵ月あたりの訪問者数は1億5,700万人相 当です。現在はインドネシアの代表的なオンラインサービスにまで発展しています。
出店開始時から100回目の取引までは手数料が免除され、低コストで気軽に始められるのがメリットです。13社の物流業者と提携しており、即日配送できる利点もあります。広告プラットフォームによるプロモーション支援も受けられるので、初めて参入するECサイトとしても魅力的です。
3.Lazada(ラザダ)
「Lazada」は、Shopeeに並んで人気の高い越境EC向けのプラットフォームです。シンガポール・タイ・マレーシア・ベトナム・インドネシア・フィリピンの計6ヵ国に同時出店できる特徴があります。
多種多様なジャンルを扱っていますが、主なジャンルは家電・日用品・アパレル用品です。2020時点での流通総額は4,762億円で、1ヵ国につき3,000店以上の出店があります。現在は日本に物流倉庫の拠点があるため、企業側は倉庫へ商品を発送するだけで国外の消費者へ届けてもらえるのがメリットです。
東南アジア越境ECの勝ち筋
ここからは、東南アジアにおける越境ECの勝ち筋について解説していきます。
テレビ&ビデオ広告・検索広告の活用
参照:statista「Advertising - ASEAN | Statista Market Forecast」
東南アジアでは、依然としてテレビやビデオ広告のシェア率が高い特徴 があります。デジタル広告が急速に追い上げてきてはいるものの、それでもテレビ・ビデオの市場規模は2024年時点で85億3,000万米ドルであり、市場全体の約3分の1程度です。
次に規模が大きいのが検索広告で、41億3,000億米ドルの市場規模を誇っています。商品や企業の認知拡大を効率的におこなうなら、この2つの市場が狙い目です。