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2024年6月3日

インド市場の魅力とメリット・デメリット|日系企業が成功するための基礎知識を紹介

高い成長率をキープし続けているインド市場は、今後も大きく成長していく見通しがあります。そんなインド市場に魅力を感じ、ビジネスチャンスを広げたいと考えている方も多いのではないでしょうか。


この記事では、インド市場や経済成長の理由について詳しく解説し、日系企業の進出ニーズを紹介していきます。また、日系企業がインド市場に参入するメリットや、デメリットについてもあわせて解説していきますので、事業の展開を検討している方は必見です。


インド市場の魅力と日系企業の進出ニーズ

まずは、インド市場がなぜ今注目されているのか、その理由について詳しくみていきましょう。世界事業が拠点先にインドを選ぶ理由や、すでに進出している日系企業にどのような動向があるのかを把握しておくことが大切です。


インド経済成長の理由

インドの経済状況は右肩上がりで、世界で唯一「6%の成長率をキープする見通しのある市場」だといわれています。2022年にはインドの経済規模がイギリスを上回り、世界5位となりました。


また株式市場においても同様で、2023年11時点ではセンセックス指数が史上最高更新を継続しています。一時的ではありますが、時価総額がイギリスを抜き4位となるなど、その勢いは衰えていません。日本株式市場でも、インドで積極的に事業展開の機会を図る動きが活発化しています。


インド市場が成長し続ける理由は以下の通りです。


  1. 2040年まで人口ボーナス期の見通しがある

  2. 通信コストが下がりIT関連の需要が急増した


2023年には、インドの人口が中国を超え世界一となりました。なかでも10~20代の若年層人口が圧倒的に多く、働き手が多いことが第一の理由です。


また、「デジタル・インディア政策」による通信コスト低下も挙げられるでしょう。インターネットやスマホユーザーが急増し、Webサービスに関連するスタートアップ事業が勢いを増しています。


今後も大きく成長する見通しがあるため、よりさまざまなサービスや商品が受け入れられる、将来性のある市場として世界中から注目されているのです。


参考:岡三証券「新天地を目指してインドで飛躍する日本企業


インドはスタートアップに最適な国

インドは米国・中国に次ぐスタートアップ大国になりつつあります。以下は「日本政策投資銀行」の2017年の調査です。

引用:Zenwavesジャパン株式会社「インド市場の魅力


上記の資料からは、中期的に有望な日系企業の事業展開先として、2017年時点ですでにインド市場が注目されていることがわかります。


さらにJETROの「海外進出日系企業実態調査では、2023年時点で1,500社ほどの日系企業がインドへ進出しており、そのうちの約7割が黒字をキープしていることが報告されました。数年前までは赤字が7割だといわれていたことを考えると、ビジネスの土台が整ってきたことがうかがえるでしょう。


世界を基準にみても、多くの企業がインドに拠点を構えているため、今のうちにインドへ進出し、市場の伸びしろを活用するのが得策だといえます。また、インドで新しいビジネスを始める際はゼロから始めるのではなく、現地で勢いのあるスタートアップと組むのがいいでしょう。


日系企業のインド進出動向

以下は、2022年10月時点における日系企業のインド市場進出の推移です。

引用:JETRO「インド進出日系企業リスト 2022


上記の資料によると、インドに進出した日系企業は1,400社で、合計拠点数は4,901拠点です。2021年と比較すると企業数が微減・拠点数が微増していますが、先述した通り2023年には1,500社に数字を伸ばしています。


また、全インドにおける日系企業の約半数、拠点数の3分の1が製造業です。業種別の拠点数については、卸売業・小売業・金融業・保険業などで増加傾向がみられました。


インド市場に進出するメリット

ここからは、日経企業がインドの市場へと進出する具体的なメリットについて紹介していきます。主なメリットは以下の3つです。


  1. ソフトエンジニアが多く、IT系の人材が豊富

  2. 購買力のあるインド現地の人々が増加傾向にある

  3. 研究開発分野への投資・起業家気質の現地人


開発人材や拠点の確保がしやすいことや、市場の伸びしろによるビジネスチャンスなどが注目されている大きな理由となっています。


IT系の人材が豊富

インドは人口構成で若年層が多く、IT系の人材資源が豊富である傾向があります。インドは現在「人口ボーナス期」に入っており、約13億人のうち5割以上が30歳以下の若年層です。


また、インドの若いビジネスパーソンは日本の若者よりも英語が堪能で、コミュニケーション力にも長けている傾向があります。新しい価値観を持つ優秀な人材が豊富なので、開発に適した人材確保がしやすいのがメリットです。


日本国内の企業は、高齢化社会による人材確保に苦しんでいますが、インドでは人材確保にかかる人件費が日本の2割程度で済むという見方もあります。


現在世界人口トップの中国が「人口オーナス期」になってきていることも考慮すると、インドの将来的な経済成長率にも期待できるでしょう。


すでにインドへ進出して現地で成功している企業の多くは、インドの高いIT技術を駆使した革新的なサービスを展開している傾向です。インド側のニーズは、ものづくりや製品技術の強みがある日本企業との連携なので、需要と供給が合致しているのも成功の理由でしょう。


参考:Digima~出島~「インド進出のメリット・デメリット|日本企業の最新進出動向・成功事例


購買力のある現地人が増加傾向

インドでは、購買力のある中間層の現地人が増加傾向にあります。2000年には28.8%だった中間所得層の割合は、2020年には50.2%まで上昇しました。

引用:経済産業省「医療国際展開カントリーレポート インド編


また下記の資料では、今後インドにおける低所得者の割合は減っていき、富裕層や上位中間層の割合が増えていくことが予測されています。

引用:Beyond Next Ventures「日本企業が知るべき、インド市場の今と成長戦略(前編)


上位中間層や富裕層も2030年には37%まで増える見通しがあるため、今後さまざまな事業の展開が見込める市場であるといえるでしょう。


さらに、インドは高機能な日本製品や日本技術に対する強い憧れがある国です。そのため、日本由来のサービスへのニーズが高い傾向があります。富裕層や上位中間層が増え、高価な製品やサービスへの需要もあることを考えると、品質やデザインによる差別化ができれば十分戦える市場です。


研究開発への投資と起業家気質の現地人

インドには特定分野への投資における「税制の優遇処置」が存在します。インド南部の都市バンガロールが急成長し、「インドのシリコンバレー」と呼ばれるようになったのも、この優遇処置の1つである「研究開発(R&D)への投資」が要因です。


この優遇処置では、「インド進出の目的がR&Dである」などの一定条件をクリアすれば、10年間のタックスホリデーが適用されます。この優遇処置により、世界中のIT企業の研究開発拠点がインドに集結しているのです。


さらに、インド人は企業家気質の人が多く、ゼロベースの事業立ち上げや新拠点の設立に協力的な傾向があります。日系企業のインド進出にも貢献してくれることでしょう。


インド市場進出のデメリットと注意点

最後に、インド市場進出時に考えられるデメリットについて解説していきます。事業立ち上げや拠点設立を検討している方は、以下の3つのデメリットをしっかり把握しておきましょう。


  1. カースト制度の影響力や民族・宗教の多様性

  2. 電力インフラの虚弱性

  3. 離職率に関する課題


カースト制度の影響力や民族・宗教における多様性

まず、インドならではの民族性やカルチャーギャップに注意する必要があるでしょう。インドの伝統的な身分制度として「カースト制度」がありますが、まずはこの制度についてしっかり理解することが大切です。


カースト制度における「ジャーティー」は、日本の職業世襲制度に近い観点を持っています。共同体における社会的ネットワークが存在するため、インド企業の一族独占や既得権益層の温存などがしばしば近代化の障害として問題視されてきました。


しかし、IT産業を含む新産業においてはこの限りではありません。とくに若年層や都市部においてはカースト制度の影響が少ない傾向があり、徐々に形骸化してきていることがわかっています。


また、インドには多様な宗教や言語が共存しているため、地域によって消費者の嗜好・価値観などが異なる傾向です。宗教的な習慣も、購買行動の変化や営業時間など、ビジネスにおいても大きく影響します。


そのため、宗教的価値観を重視した商品設計やマーケティング戦略はもちろん、従業員の宗教的価値観への理解が必須です。


電力インフラの虚弱性

インドはインフラ需要が高い新興国ですが、整備状況が国内産業の発展に追いついていない現状があります。ライフラインや輸送・移動手段などの問題もありますが、もっとも深刻なのは電力インフラです。


問題点は多岐に渡っており、電波の虚弱性だけではありません。発電能力不足でピーク時の電力需要に対する十分な供給ができていない点や、盗電・電気料金回収システムの不備など、解決すべき問題が山積みになっています。


そのため、インドに進出する日系企業には、安定した電力供給を実現するための自家発電システムの導入などが求められるでしょう。また、インフラ整備は今後も優先されるべき課題ではありますが、インフラ整備関連の分野で進出する日経企業にとっては事業拡大のチャンスでもあります。


離職率に関する課題

先述したJETROの「海外進出日系企業実態調査」では、多くの在インド日系企業が人材に関する課題を抱えていることがわかっています。主な課題は従業員の離職率の高さや人件費の高騰などです。


この背景には、国民性による価値観の違いや日本企業における固定概念などがあります。現地の人材が離れていく主な理由は以下の通りです。


  • 人事や評価制度への不満(日本人が上級職に多いなど)

  • マニュアル(手続きや過程)を重んじる姿勢が結果重視の価値観と合わない

  • 給与水準や昇給などが業界水準よりも低い傾向がある


現地人の離職を防ぐには、日本のやり方を貫くのではなく、現地人の価値観に合わせた柔軟な経営方針で相互理解を深めることが大切になるでしょう。


まとめ

成長し続けるインド市場は、日本の企業にとってもビジネスチャンスのある魅力的な市場です。日本のスタートアップ企業やユニコーン企業が事業展開しやすい条件が揃っています。


インドへのビジネス進出を検討しているなら、日本とインドとの文化的な相違についてしっかり把握し、常に考慮することが求められるでしょう。紹介した注意点やデメリットを参考にして、対策を練ることも大切になります。

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