2024年6月13日
海外の広告は日本とどう違う?参考にしたい海外広告6選
まずは、以下の2枚の画像を見比べてください。
それぞれアメリカと日本のGoogleにて「トヨタ 広告」と検索した結果です。
検索結果に表示された画像を見るだけでも「なんとなく違いがある」ことはわかるのではないでしょうか?
実際に、15年以上日本・海外で広告を運用している立場から、両者には明確な違いがあると感じています。
これから海外で広告配信をする方は、この記事を読み、日本と海外の広告の違いを理解してください
日本と海外の広告の違い3選
まずはじめに、日本と海外の広告の違いを3つの観点から解説していきます。
外観・デザイン
文化的背景と社会的背景
使用するメディア
それぞれの点について、詳しく見ていきましょう。
外観・デザイン
現代広告の根幹を成している「外観・デザイン」面は、日本と海外で大きく違いが見られる観点です。
一概にはいえないものの、大まかに下記のような違いがあることを押さえておきましょう。
日本 | 海外 | |
---|---|---|
文字量 | 多い | 少ない |
色使い | カラフル | 白と黒 |
画像 | キャラクター | 実写 |
とりわけ大きな違いとして見られるのは「文字量」です。
「文字量が多いと親切で助かる」といったように考えるのが日本流ですが、これは日本語が持つ「1文字単位で表せる情報量の多さ」によるもの。
海外は基本的に「アルファベット」を使用し、1文字あたりの情報量に乏しいため、文字による訴求は日本語ほどの価値を持っていません。
したがって、海外向けの広告を作成、出稿する場合、文字量ではなく「画像」をより用いることが効果的です。
そしてその画像も、日本は「ゆるキャラ」などに代表されるようにキャラクターが多用されますが、海外では実写系の画像が多く使用されるので、この違いにも理解を深める必要があります。
▼海外と日本の広告の違いの例
・トヨタ社の日本での「ヤリス」の広告ポスター:全体的に文字を通してメッセージを伝えている。
・海外での同社のポスター:端的なメッセージであり、全体を通してビジュアルを推していることが分かる。
文化的背景と社会的背景
他の観点と重複する部分もありますが、続いて広告をめぐる文化的、社会的な背景について取り上げます。
両者のキーワードは「集団主義」「個人主義」の2点です。
【日本】
家族、学校、会社など集団にフォーカス
個人にフォーカスする場合でも「集団の中の個」として扱われる
【海外】
個人の考えやライフスタイルにフォーカス
とくに西洋諸国で顕著に見られる
日本の広告に目を向けると、その大半が「自宅のリビング」「学校の教室」「オフィス」など、集団生活の場が前提となっていることに気がつきます。
一方、海外、とりわけ西洋諸国では「自宅の自室」といった個人のパーソナルな部分に焦点を当てることを徹底し、「商品を通じて自分がどう変わるのか」という点を強く訴求します。
▼海外と日本の広告の違いの例
・任天堂のNintendo Switchのキービジュアル:友人との「つながり」を強調している
・MicrosoftのXboxのキービジュアル:商品を通じて「自分自身がどのように変わるのか」を打ち出している
使用するメディア
最後に取り上げるのが使用するメディアです。
この違いは非常にわかりやすく、日本は依然として「紙媒体」「テレビ」といった従来型の広告が力を持っていますが、海外ではインターネットを使った広告が一般的になりつつあります。
例としてアメリカを取り上げると、2022年の時点でオンライン広告費は2,000億ドルを上回り、これは700億ドルと推定されるテレビ広告費のおよそ3倍を占めています。
出典:(https://www.marketingcharts.com/featured-230110)
とくに検索エンジンを通じたリスティング広告や、ソーシャルメディアを使った広告が強力です。
これらのインターネット広告は、文字よりも画像やデザインが訴求効果を発揮するので、文字ベースの日本流の広告は海外には馴染まないでしょう。
▼海外の広告の例
・febreze(ファブリーズ)の海外Instagramアカウント:商品画像やイラストを活用して投稿を実施している
【エリアごとに解説】参考にしたい海外広告6選
ここからは、参考になる海外広告を6パターン、エリアことに解説していきます。
北アメリカ:Apple
南アメリカ:Havaianas
ヨーロッパ:L'Oreal
アジア:Samsung
オーストラリア:Qantas
アフリカ:CASTLE LAGER
これら6つの広告について詳しく見ていきましょう。
北アメリカ:Apple
押しも押されぬ世界有数の巨大企業「Apple」は、アメリカの海外広告として非常に参考になります。
上記は2024年に日本で発売が開始された空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」の広告です。
日本の場合、家族や学校など集団生活の場で使用する場面を広告として採用することが多いですが、Appleのこちらのキービジュアルでは、ひとりの女性がデバイスを装着するというシンプルな構図を採用しています。
また、背景、着用しているシャツ、いずれも白で、この色覚的なシンプルさも海外らしいです。
南アメリカ:Havaianas
ブラジルの人気サンダルブランド「ハワイアナス」のこちらの広告は、ブラジルという国を巧みに活用した広告として仕上がっています。
日本の草履を開発のヒントとしたことが一目でわかるよう、草履と自社商品を並べている点がシンプルながら非常にわかりやすいです。
また、背景にあるブラジル国旗をモチーフにしたデザインにより「ブラジルらしさ」を存分に訴求することが可能になっているのもポイント。
ブラジルといえばサンバやビーチなど、開放的なイメージが根強いため、サンダルの持つイメージとの親和性が非常に高く大きな訴求効果が見込めます。
ヨーロッパ:L'Oreal
ヨーロッパの美容系ブランド「ロレアル」は、日本国内でも高い知名度を誇る人気企業です。
こちらの広告は、ヨーロッパらしい民族多様性を第一に掲げ、白人、アジア人、黒人をそれぞれ起用しています。
単一民族で構成される日本ではあまり見られない表現手法なので、この点は非常に参考になるはずです。
そして、キャッチコピーとして使用されている「BECAUSE YOU'RE WORTH IT(あなたがそれに値するから)」という文言も多様性を強調する上で一役買っています。
また、人気商品であるグロス、リップを手に掲げ、全員が同じ商品を実際に使用した写真である点も訴求効果が見込めます。
アジア:Samsung
アジアからは日本の隣国である韓国のサムスンの広告をチョイスしました。
アジア圏内は欧米諸国よりも日本に似た価値観が見られますが、こちらの広告はサムスンの主力商品であるスマートウォッチの海外向けWebサイトのキービジュアルです。
全体を白でまとめたシンプルさや、スマートウォッチに映る白人女性が海外向けであることを示唆しています。
商品を5つ用意し、それぞれの文字盤を活用して機能面を訴求しながら、色違いのバンドをつけることで視覚的なユニークさを確保している点が見ている人を飽きさせません。
オーストラリア:カンタス航空
オーストラリアの航空会社「カンタス航空」のこちらの広告デザインも参考になります。
今流行りのアニメ調に仕上げながら、オーストラリア大陸全体を中央に配置。
そして、それぞれの地域でどんなことができるのかをアニメ調のイラストで表現することで、フレンドリーな印象を強めています。
これ1枚を数秒間見るだけで、オーストラリアにはビーチや気球、グランドキャニオン、シュノーケリングなど、さまざまな観光的価値があることが伝わってきます。
文字を使わなくてもこれだけのことが表現できる点は、文字ベースの広告が未だ根強い日本企業が覚えておきたいポイントです。
アフリカ:キャッスル・ラガー
最後に紹介するのが、アフリカの人気ビールブランド「キャッスル・ラガー」のキービジュアルです。
一目見ただけでもわかるビールの広告に仕上がっているのが特徴的ですが、さらに注目したいのがアフリカらしさが感じられる点。
肌の色だけでわかる工夫を出すことで、アフリカ企業のビールであることが伺えます。
こういった仕掛けを用意することで、キャッチコピーの「100% HOMEGROWN」が持つ価値がさらに際立ち、商品の魅力を一層訴求することが可能です。
まとめ
海外の広告を日本の広告との違いと比較しながら解説してきました。
今後、日本企業が海外向けの広告を制作する機会は確実に増えていくので、記事で紹介した情報を参考にしながら、海外の人々に的確に訴求できる広告をデザインすることが大切です。
また、海外といっても大陸、エリア、さらに国によっても広告手法や有効なメディアは異なるため、ターゲットに対して適切な広告を打ち出すことも意識しましょう。
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