2024年10月29日
【2024年版】シンガポールのマーケティングの現状|日本との違いとは?
東南アジアのなかでもいち早く経済成長を遂げたシンガポールは、ビジネスチャンスに富んだオフショアとして注目を集めています。
そして、シンガポールにビジネスを仕掛ける上で欠かせないのがマーケティングではないでしょうか?
グローバルマーケティングの専門業者の視点からすると、シンガポールを含む東南アジア諸国は多民族国家であることが多いため、日本とは違ったマーケティング手法を導入することが求められると感じています。
そこでこの記事では、シンガポールにマーケティングを仕掛ける上で欠かせない、以下の点について解説していきます。
マーケティング基礎データ
消費者の特徴
オフライン、デジタルマーケティングの特徴
マーケティング事例
シンガポールのマーケティング事情について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
シンガポールのマーケティング基礎データ
まずはシンガポールのマーケティング基礎データから紹介していきます。
人口動態
シンガポールの国土は東京23区程度なので、人口は決して多いわけではありません。
2022年時点での人口は564万人で過去最高を記録していますが、この成長を支えているのは外国人移民です。
10%を超える割合で増加を続けており、2022年時点で176万人を記録しています。
また、2013年時点の20歳〜64歳の割合は64.9%でしたが、2024年には61.0%と減少していて、少子高齢化が着実に進んでいます。
今後、日本と同じような高齢社会へとなるかどうかは、外国人移民をどれだけ受け入れるのかで決まるといえるでしょう。
民族
一方、日本と大きく異なるのは民族構成です。
中華系が74%、マレー系が14%、インド系が9%と、主に3つの民族により構成される多民族国家です。
言語はマレー語が国語であり、公用語として英語、中国語、マレー語、タミル語の4つが採用されています。
日本では単一の「日本人」に向けてマーケティングを実施すれば良いですが、シンガポールでは民族ごとの配慮が求められるため、この点には要注意です。
出典:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html
経済状況
2023年は経済成長率1.1%と、他の東南アジア諸国と比べるとやや物足りない印象があります。
2022年から続くインフレは少しずつ頭打ちが見られますが、国民の足元レベルでは生活必需品のインフレが進んでおり、予断を許さない状態が続いています。
他のアジア新興国でも見られるように、エルニーニョ現象による食物リスクの増大や、中東情勢の悪化による原油リスクの増大で、今後の見通しは良いとはいえません。
とはいえ、東南アジアのなかでは屈指の経済規模を誇り、国内インフラは万全の体制を誇るため、他の東南アジア諸国にあるような政治的なリスクや、成長国特有の各種リスクについてはそれほど懸念する必要がない点は注目すべきポイントです。
出典:https://www.dlri.co.jp/report/macro/330431.html
▼実際の現地の声(弊社社員より)
東南アジア進出の足掛かりとして、シンガポールに最初に進出する企業が多いです。
実際に弊社への相談としても、シンガポールに進出して、東南アジアの足掛かりにしたいという声を多くいただいています。
シンガポールの消費者の特徴
続いて、シンガポールの消費者の特徴を解説していきます。
シンガポールを含めた東南アジア諸国はモバイル化が国民に浸透しきっており、消費者の83%がスマートフォンを通じて購入しています。
また、先進国同様に健康意識が高く、平均寿命は83歳です。
医療体制が非常に充実していて、「健康を追い求める姿」は日本人と重なる部分があります。
また、シンガポール在住の人間によく聞く話としては、自炊文化がそれほどなく、自宅で料理をするシンガポール人は非常に少ないということです。
自宅に家政婦を雇っている場合は例外ではあるものの、国土が狭く繁華街へアクセスしやすいため、外食をすることが一般的だといえます。
この辺りは、中華圏の屋台文化が影響を与えているところもあり、まさにシンガポールは文化や民族のるつぼだといえるでしょう。
シンガポールのオフラインマーケティングの特徴
ここからはマーケティングの具体的な話へと入っていきます。
まずはシンガポールのオフラインマーケティングについて見ていきましょう。
上記グラフでわかるように、オフラインマーケティングの代名詞であるテレビや屋外広告は、いずれもほとんど頭打ちの状態であることがわかります。
一方で、国土面積が小さく、公共交通機関の利用が一般的なシンガポールでは、DOOH(デジタル屋外広告)の利用が効果的です。
3つの路線が交わり、シンガポールの中心的な交通ハブであるドビーゴート駅や、ビジネス街として有名なラッフルズ・プレイス駅、バス停におけるDOOHなどを検討する価値は大いにあるでしょう。
出典:https://www.vivid-creations.biz/blog/ooh-singapore-marketing/
シンガポールのデジタルマーケティングの特徴
続いて、シンガポールのデジタルマーケティングについて解説していきます。
オフラインと同様に上記グラフを見ると、水色の「Search Advertising(検索広告)」の堅調な伸びがわかります。
検索エンジンを使ったリスティング広告が該当しますが、これはシンガポールの高いスマートフォン利用率が関係しているでしょう。
また、2010年代はほとんど見られなかった「インフルエンサーマーケティング」も伸びが見られていることも特徴です。
つまり、シンガポール(というよりも東南アジア全体)のマーケティングでは、「検索」「SNS」この2つを攻略することが鍵になるといえます。
検索はGoogle一強、SNSはFacebook、Instagram、TikTok、そしてLINEの代わりにWhatsAppを対策することが求められます。
参考:【2024年最新版】シンガポールの人気SNS事情を徹底解説!デジタルマーケティングをハックしよう
シンガポールのマーケティングで成功するコツ
品質や安全性など「付加価値」の訴求を意識
購買意欲が旺盛な層に刺さる商材を用意
トランスクリエーションによる刺さる翻訳を実施
FacebookやInstagramでインフルエンサーと連携
Made in Japanなど日本要素を見せることも有効
SNSとリスティング広告の併用が効果的
当社が感じているシンガポールのマーケティングで成功するコツを以上にまとめました。
他の東南アジア諸国とは異なり、先進国寄りの立ち位置の国なので、ある程度の商品やサービスはすでに出揃っている状態です。
したがって、商品やサービスの「付加価値」をどれほど訴求できるのかが、マーケティングの成否を決めるといって良いでしょう。
また、日本からマーケティングを仕掛ける場合は、単に日本のマーケティング手法を現地言語(基本は英語)に翻訳するだけでは足りません。
現地国民の価値観に沿った翻訳、いわゆる「トランスクリエーション」を実施することで、マーケティング効果を最大限まで高められるでしょう。
また、他の東南アジア諸国と同様に「Made in Japan」の持つ価値は強大です。
事実、シンガポールを歩いていると、日本企業の看板がいたるところに目に入り、日本がどれだけ受け入れられているのかがわかります。
したがって、マーケティング施策の中に「日本らしさ」を入れ込むことで、より大きな効果が期待できるでしょう。
シンガポールのマーケティング成功事例
ここからは、シンガポールのマーケティング事例を取り上げていきます。
まずは成功事例からです。
先述のように、シンガポールは日本人気が高いため、日本関連の催事イベントが頻繁に開催されています。
その中に、「Sake Matsuri」と呼ばれる、日本の酒にスポットを当てるイベントが存在しています。
このイベントに日本の酒造が日本ブースとして参加し、シンガポールの酒類の一般的なボリュームゾーンである4,000円〜8,000円よりも高い1万円以上の商品が多数売れています。
これは、シンガポールの「親日」という特徴を活かし、現地のオフラインマーケティングを上手に活用した好例だといえるでしょう。
出典:https://www.vivid-creations.biz/blog/test-marketing-overseas-market-singapore/
シンガポールのマーケティング失敗事例
先述のように、シンガポールではインフルエンサーマーケティングが右肩上がりの成長を見せていますが、炎上リスクが存在することは考慮しておくべきです。
ここでは、シンガポールのマーケティング失敗事例として、Instagramを使ったインフルエンサーマーケティングの炎上案件を取り上げます。
アジア版ゴールデングローブ賞とも呼ばれるアジアテレビジョンアワードを獲得した「レベッカ・リム」は、Instagramで突然「引退宣言」を行いました。
キャリアの絶頂にある彼女の突然の決断は大騒動を巻き起こしましたが、後に引退しないことを告げる動画を投稿します。
実は、この一連の流れは国内大手の保険会社「NTUC Income Insurance」が絡んだ、「早期退職」に関するマーケティングの一貫だったのです。
しかし、国民的スターを利用したこの「引退詐欺」ともいえるマーケティングは猛烈に燃え上がり、収拾がつかない事態に発展。
これは、インフルエンサーマーケティングの持つ裏の顔を浮かび上がらせる好例だといえるでしょう。
最近は、このような大規模な炎上リスクを抑えるために、ニッチなジャンルの小規模〜中規模のインフルエンサーを起用する「マイクロインフルエンサーマーケティング」が注目を集めています。
ニッチなジャンルの消費者はインフルエンサーへのエンゲージメントが非常に強く、また購買意欲も高いため、規模は小さくなるものの、確かなリターンをローリスクで追求できるのが強みです。
出典:https://vero-asean.com/stealth-marketing-gone-wrong-singapore/
シンガポールのマーケティングに関するよくある質問
シンガポールの広告コンテンツはどのように作成すればいい?
シンガポールのマーケティングは自社だけで進められる?
シンガポールのデジタルマーケティングは日本と比べてどのくらいコストがかかる?
シンガポールで今後注目のビジネスにはどんなものがある?
当社に寄せられるシンガポールのマーケティングに関するよくある質問には、以上のものがあげられます。
「自社のみで進められるのか」「コスト感」このようなものについて気になるお客さまが多い印象です。
結論からいえば、日本国内へのマーケティングとはあらゆる点が異なるため、自社のみで進めてしまうと大幅なリソース不足、コストオーバーに陥る可能性が高いです。
というのも、社内にノウハウがないと事前に策定する戦略やロードマップにも穴があるケースが多く、想定外のことが多数発生するからです。
したがって、シンガポールを含めた東南アジア、さらには諸外国にグローバルマーケティングを仕掛ける上では、戦略策定の時点から知見のある人材や業者による支援を受けることが合理的だといえます。
シンガポールのマーケティングならThe Digital Xにお任せください
シンガポールのマーケティングは考慮すべき点が多いため、自社のみで進めるのはややリスクがあります。
人口や民族、経済状況、さらにはマーケティング情勢について把握する必要があるため、マーケティング支援を受けることをおすすめします。
私たち「The Digital X」は、グローバルマーケティングのプロフェッショナルとして、東南アジア方面へのマーケティング支援を一気通貫で支援しています。
興味があるお客さまは、「弊社カタログ」をご覧いただくか、お気軽に「お問い合わせ」いただけますと幸いです。
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