2024年7月20日
【アメリカ越境EC】2024年最新の米国EC市場!ビジネスに参入するためのポイントについて解説
アメリカのEC市場は中国に匹敵する巨大な規模を持っており、メイドインジャパン製品・サービスに対する需要が高い傾向です。日本から参入している企業はそこまで多くなく、供給よりも需要が上回っている狙い目の市場だといえるでしょう。
この記事では、日系企業がアメリカ越境ECに成功するためのポイントについて解説し、以下の疑問を解消していきます。
「アメリカEC市場の現状と規模感は?」
「日系企業がアメリカ越境EC参入に適したプラットフォームは?」
「アメリカにおける消費者の特徴や傾向が知りたい」
さらに、デジタルマーケティングに18年以上携わってきたThe Digital Xの経験則から、アメリカ越境ECの勝ち筋や失敗しないための注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
アメリカ越境ECの市場規模と現状
まずは、アメリカにおけるECの市場規模についてみていきましょう。
参照:statista「米国の電子商取引業界の収益 2019-2029」
アメリカeコマース市場の収益は、2024年6月で1兆2,230億米ドル、年間で1兆4,690億米ドルに達する予測です。収益の年間成長率は8.99%であり、2029年までに1兆8,810億ドルの市場規模まで拡大する見通しがあります。
また、ECの普及率は現状84.5%で、29年までには97.1%にまで達する予想です。
参照:statista「eコマース-米国」
以下はstatistaのデータを参考に、2023年時点のアメリカEC事業における、カテゴリー別のランキングTOP3を表にしたものです。
カテゴリー | 収益(単位:10億米ドル) | |
---|---|---|
1位 | 電化製品(ハードウェアほか) | 224.90 |
2位 | ファッション | 182.00 |
3位 | 食品 | 144.50 |
上記を参考にすると、アメリカEC事業は電化製品・ファッション・食品の順に需要が高いことがわかります。今までEC化が進んでいなかった食品カテゴリーも、コロナ禍を経てEC利用やデリバリーサービスなどが盛んになりました。
アメリカは市場が大きいぶん、その他カテゴリーも消費量が大きい傾向です。今後も市場が拡大することを考慮すると、販路拡大によるビジネスチャンスが期待できるでしょう。
2024年のトレンドは「リユース市場」
経済産業省「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」
近年アメリカでは、サステナビリティや物価高騰の背景から「リユースEC事業」が注目されています。コロナ禍で一度は落ち込んだものの、実店舗を含めたリユース市場規模が拡大傾向にあるのです。
2022年時点では100億ドルの市場規模ですが、今後年平均15~20%のペースで成長し、2025年までには200億ドルを上回る見込みがあります。EC事業を含めると、店舗型における市場規模の2~3倍の規模まで拡大すると予測されており、今後も注目の市場です。
アメリカにおける消費者の特徴
ここからは、アメリカにおける消費者の特徴や傾向について、弊社の経験則を交えて紹介していきます。
独自のセールやイベントがある
ギフト文化が盛ん
アメリカ市場は規模が大きく、消費行動も盛んにおこなわれている傾向です。その背景には、購買行動を促す独自のセールや贈り物文化があります。これらを把握して、適切な方法・タイミングで販促をおこなうことも重要なポイントです。
独自のセールやイベントがある
日本だけでなく、アメリカにも独自の購買行動を促す販促行事があります。そのため、現地人の購買行動が活発化する時期を把握することも大切です。
たとえば、アメリカの入学シーズンである8~9月頃には、新学期に向けた「Back to school sale」と呼ばれる販促行事があります。日本における「新生活応援フェア」のようなものです。
また、アメリカでは11月の第4木曜日に感謝祭があり、その時期はホリデーシーズンになります。感謝祭の翌日には実店舗で「Black friday sale」、翌週の月曜にはECが中心の「Cyber Monday」がおこなわれますが、これは1年の中でも最大規模の販促行事です。
ギフト文化が盛ん
日本にもお歳暮やお土産などの文化がありますが、アメリカにも独自の贈り物習慣があります。クリスマスや誕生日のような大人から子供へのギフトはもちろん、大人から大人へのプレゼントも一般的で、日本よりも規模感が大きい傾向です。
季節や人生の節目など、さまざまなイベントでギフトを送り合う文化があることも、アメリカ市場における消費行動が盛んな理由の1つでしょう。
アメリカ越境ECで人気のプラットフォーム3選
参照:statista「2023年の米国における主要な小売eコマース企業の市場シェア」
2023年2月におけるstatistaのデータによると、Amazonが全体の約4割を獲得しており、圧倒的なeコマース市場のシェア率を誇っています。次いで上位ランクインしているのは、実店舗のある小売業者のECサイトが多い傾向です。
ここからは越境ECで活用できるプラットフォームと、その出店方法について簡単に紹介していきます。
Amazon
アメリカにおけるダントツのシェア率を誇る「Amazon」は、アメリカ国内だけでも1億5,000
万人以上のユーザー(全人口の3分の1以上)が登録しています。Amazon USにおける売上は2022年時点において総額3,560億米ドルで、月間のアクティブユーザー数は日本の5.7倍以上です。
Amazonは日本貿易振興機構(JETRO)と提携し、日系企業の越境ECのサポートもおこなっているため、比較的進出しやすいメリットもあります。
アメリカ越境ECの「Amazon」出店方法
Amazon USのアカウントは日本向けの「Amazon.co.jp」と異なるため、まず「Amazon.com」のアカウント作成が必要です。続けて出店用のセラーアカウントを作成し、大口か小口出品かを選択します。大口の場合は月額料金が、小口の場合は取引成立に都度手数料が発生する形です。
Walmart
「Walmart」は、ディスカウントストアや食料品チェーンなどの実店舗を運用する企業のeコマースです。パンデミック中にEC事業に注力して以来、急激に売上を伸ばしています。日本からも出店可能ですが、日本語対応していないため注意が必要です。
アメリカ越境ECの「Walmart」出店方法
Walmartで越境ECをおこなうには、「Walmartマーケットプレイス」に登録し、以下の条件や書類を揃える必要があります。
納税者番号やビジネスライセンス番号の開示
会社名・住所証明書類の提出
eコマース経験の有無
商品識別コードのある製品
禁止商品ポリシーに準拠したカタログ など
書類や出店ルール、やり取りなどはすべて英語で対応する点にも留意しなければなりません。
eBey
「eBey」は、カルフォルニアに拠点を置くインターネットオークションサイトです。1億3,200万人のアクティブユーザーを抱えており、世界190ヵ国に一括出品できる特徴があります。日本の越境ECにも協力的で、一連の流れをまとめた無料マニュアルなどのサポート体制が充実しているのがメリットです。
アメリカ越境ECの「eBey」出店方法
eBeyで越境ECを展開する場合、基本的にはアカウント作成のみの簡単な手順で出店可能です。公式の「eBey販売サポートサービス」が利用できるため、越境ECに不安がある方も参入しやすいでしょう。
アメリカ越境ECの勝ち筋
アメリカ越境ECを成功させるには、以下のポイントを押さえたマーケティング戦略が欠かせません。
メイドインジャパンの信頼性を活かす
コンテンツマーケティングの活用
現地インフルエンサーやUGCの活用
前例が少ないアメリカ越境ECだからこそ、成功のチャンスは大いにあります。ここからは、アメリカ越境ECの勝ち筋についてみていきましょう。
メイドインジャパンの信頼性を活かす
アメリカでは、「メイドインジャパン」が1つのブランドとして信頼されている傾向があります。日本のサービスや製品は現地でも非常に人気が高く、車・食品・ゲーム・キャラクター・ファッションなど、さまざまな分野において需要があるのです。
上記のニーズにもかかわらず、アメリカは日本からの越境ECがまだ盛んではありません。そのため、事業が軌道に乗れば成功のチャンスは大いにあるといえます。
コンテンツマーケティングの活用
アメリカ現地の人々が頻繁に利用している媒体を通して、マーケティングをおこなうことも大切です。SNSをはじめ、メールやブログ、動画・Podcastなど、さまざまな媒体からアプローチすることでCV率が高くなります。もちろん、自社のブランドやターゲット層にマッチした媒体からコンテンツを発信することも重要です。
現地インフルエンサーやUGCの活用
コンテンツマーケティングをおこなう際は、現地のインフルエンサーを起用したり、UGCを活用したりする戦略も効果的です。「UGC(User Generated Contents)」とは、一般ユーザーのSNS投稿やECサイトレビューのことを指します。
アメリカの消費者やネットユーザーは、恣意的な情報操作に嫌悪感を抱きやすく、ネット広告をブロックするアプリを日常的に使っているという声も多いです。広告などでアプローチするよりも、リアルな声や口コミのほうが信頼されやすく、ストレートに消費者へ届きやすい傾向があります。
アメリカ越境ECの注意点
最後に、アメリカ越境ECに失敗しないための注意点を2点紹介します。以下の2点は日系企業がつまづきやすいポイントなので、参入前にしっかり留意しておくことが大切です。
関税や制度などのルール
PayPalなどの主流決済サービスの導入
関税や制度などのルール
日本からアメリカに商品を輸出する際は、商品ごとに定められた関税に注意する必要があります。適切な輸出申告をおこなっていないとスムーズに配送できず遅延を招く恐れがあるため、初めて参入する場合はとくにしっかり把握しておきましょう。
詳しい関税制度については、米国政府の「統一関税税率表」をご覧ください。
また、関税だけでなく以下の制度にも留意する必要があります。
EC法「OECD」(安全な取引のためのガイドライン)
FDAルール(食品・医薬品・化粧品の販売ルール)
マーケティング規制(消費者を守るためのルール)
PayPalなどの主流決済サービスの導入
アメリカのECユーザーは、クレジット決済だけでなくデビットカードやPayPalも活用している傾向があります。日本ではマイナーな決済方法がアメリカでは主流であるケースもあるため、しっかりニーズを把握することが大切です。
日本のECでも同じですが、ユーザーは使い慣れている決済手段がないと購入を諦めて離脱してしまいます。機会損失にならないよう、アメリカで主流の決済サービスの導入もあわせて検討してください。
アメリカ越境ECに関するよくある質問
ここからは、以下のアメリカECに関するよくある質問に回答していきます。
アメリカのデジタル広告事情について教えてください
アメリカのデジタルマーケティングの最新情報を教えてください
アメリカでビジネスを成功させるコツはありますか?
アメリカで人気のあるSNSを教えてください
アメリカでよく使われる検索エンジンは何ですか?
アメリカのデジタル広告事情について教えてください
以下でアメリカのデジタル広告事情とトレンド情報について解説しています。
「【2024年最新版】アメリカの広告事情|トレンドを押さえた運用のコツ」
アメリカのデジタルマーケティングの最新情報を教えてください
以下でアメリカにおけるデジタルマーケティングのトレンド情報を解説しています。
「【2024年版】アメリカのデジタルマーケティングトレンド | データを参考に解説」
アメリカでビジネスを成功させるコツはありますか?
以下の記事でアメリカビジネスを成功させるポイントについて解説しています。
「アメリカビジネス進出のメリットデメリット|成功・失敗例に学ぶマーケティングのコツ」
アメリカで人気のあるSNSを教えてください
以下の記事で、アメリカの人気SNSランキングと、SNSマーケティングのコツについて解説しています。
「アメリカの人気SNSランキングTOP5|日本企業のSNSマーケティングを成功に導くコツ」
アメリカでよく使われる検索エンジンは何ですか?
「【2024年版】アメリカの検索エンジンTOP4|日本との比較とSEOマーケティングのコツ」
アメリカ越境EC進出ならTheDigitalXまでご相談ください
アメリカECは、他国よりも人種・文化が入り交じっている巨大な市場です。ヒアリングやリサーチが不十分だと、市場全体の把握は難しいでしょう。とくに、文化・言語・世代ごとの傾向やトレンドをしっかり把握することが大切になります。
「展開しようとしている商品やサービスは、本当にアメリカの消費者にニーズがあるのか」「どのようにプロモーションするのが効果的か」など悩む場合は、ぜひ現地調査に長けた弊社までご相談ください。デジタルマーケティングにおけるプロフェッショナルの観点から、貴社に適した戦略を提案いたします。
SNS Share!!