2024年9月27日
【2024年最新】越境EC事業に使える補助金制度一覧|活用のメリットや注意点をご紹介
補助金は、政策目標に沿った事業を展開する中小企業に対し、国や自治体がその取り組みを支援する制度です。これから越境EC事業に参入しようと考えている方の中には、補助金制度の活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、越境事業を支援して18年の実績を持つ弊社TheDigitalXが、以下の疑問を解決していきます。
「2024年現在、越境EC事業に活用できる補助金制度は?」
「補助金制度を越境EC事業に活用するメリットとデメリットは?」
さらに、補助金制度を選ぶ際の注意点や、選び方のコツについても解説しますので、ぜひ参入時の参考にしてみてください。
越境EC事業に利用できる補助金の種類
補助金は、行政が中小企業の事業促進・活性化のために支給するお金であり、その多くは返済不要であることが多いです。ただし、必要経費のすべてが賄えるわけではないため、補助の割合や上限についてはしっかり確認しておくことが大切になります。
2024年9月現在、活用できる主な補助金制度は以下の4つです。
ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金
事業再構築補助金
自治体独自の補助金
以前は「IT導入補助金」も越境EC事業に活用できましたが、現在は募集を終了しています。年度ごとに制度内容は変更されるため、必ず公式サイトを確認するようにしてください。
まずは、越境EC事業に活用できる主な補助金の種類について詳しくみていきましょう。
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」と呼ばれる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」制度は、電子申請システムのみで受け付けている補助金です。主に、中小企業が事業の拡大・維持・向上のためにおこなう制度変更を支援する目的で給付されています。
支援類型は大きく3つありますが、越境ECで活用できるのは「グローバル枠」です。
種類 | グローバル枠 |
---|---|
補助額 | 3,000万円(3,100~4,000万円) |
補助率 | 2分の1(小規模・再生事業者は3分の2) |
対象経費 | 機械装置・システム構築費 運搬費 技術導入費 知的財産権等関連経費 外注費 専門家経費 クラウドサービス利用費 原材料費 海外旅費 通訳・翻訳費 広告宣伝・販売促進費 など |
参照:ものづくり補助金総合サイト「公募要領(18次締切)」
設備投資に利用できる補助金なので、越境ECの構築におけるツール導入・設備投資に活用できます。ただし、補助期間は交付開始から10ヶ月間のため、計画的に活用しましょう。
現在今年度の公募は終了しており、来年度については未定となっています。詳しい条件や最新情報については、以下の公式サイトを参考にしてください。
小規模事業者持続化補助金
全国商工会連合会が給付する「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者の販路開拓・生産性向上を目的とした補助金制度です。商工会議所の管轄地域に所在する事業者のうち、商業・サービス業・宿泊業・娯楽業・製造業その他が対象となります。
越境EC事業に活用できる申請類型は全5種類です。「通常枠」の他に4種類の「特別枠」があります。
種類 | 通常枠 | 特別枠 |
---|---|---|
補助額 | 50万円 | 200万円 |
補助率 | 3分の2 | 3分の2(一部4分の3) |
対象経費 | 機械装置等費 広報費 ウェブサイト関連費 展示会等出店費 旅費 開発費 資料購入費 雑役務費 借料 設備処分費 委託・外注費 など | 機械装置等費 広報費 ウェブサイト関連費 展示会等出店費 旅費 開発費 資料購入費 雑役務費 借料 設備処分費 委託・外注費 など |
参照:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」
給付を受けるためには自社の経営を見直し、持続可能な「経営計画」の作成が必要です。対象経費にはECサイトの構築・更新・改修にかかる一部費用も含まれています。
現在今年度の公募は終了しており、来年度の予定については発表されていません。詳しい条件や最新情報については、以下の公式サイトを参考にしてください。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、中小企業の新分野展開、事業や業種・業態の転換、事業再編などを支援する補助金制度です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会において、中小企業の事業再構築を支援することで、日本経済の回復・発展を促すことを目的としています。
たとえば、toB向けの事業をtoC向けに転換する、店舗販売のみの商品をEC展開するなどが該当する形です。ECサイトの構築のみが目的だと申請に通らないため注意しましょう。
以下は越境EC事業に活用できる主な公募枠です。
種類 | 成長分野進出枠 | コロナ回復加速化枠 |
---|---|---|
補助額 | 通常類型:3,000万円 GX進出類型:5,000万円~1億円 | 通常類型:2,000万円 最低賃金類型:1,500万円 |
補助率 | 中小企業:2分の1~ 中堅企業:3分の1~ | 通常類型 中小3分の2、中堅2分の1 最低賃金類型 中小4分の3(一部3分の2) 中堅3分の2(一部2分の1) |
対象経費 | 建築費 機械装置・システム構築費 技術導入費 外注費 専門家経費 広告宣伝費 販売促進費 研究費 など | 建築費 機械装置・システム構築費 技術導入費 外注費 専門家経費 広告宣伝費 販売促進費 研究費 など |
参照:経済産業省「事業再構築補助金第12回公募の概要」
申請時には、認定経営革新等支援機関から事業計画書の確認を受ける必要があります。また、補助事業終了後の3~5年のうちに、「付加価値額の年平均成長率3~5%」などの条件を達成しなければなりません。
現在、2024年10月6日まで第10回の公募を受け付けています。詳しい条件や次回公募については、以下の公式サイトを参考にしてください。
「事業再構築補助金」
自治体独自の補助金
先述した補助金制度は国が主体となって支援をおこなうものですが、都道府県によっては自治体が主体となって支援しているところもあります。たとえば青森県弘前市では、海外向けのECショップ出店事業を補助対象とした「青森県輸出市場販路開拓・拡大支援事業費補助金」をおこなっていました。(現在は募集終了)
所轄の自治体で越境ECに活用できる補助金制度があるかどうかは、以下の補助金ポータルサイトで検索できます。また、自治体に直接問い合わせてみるのもおすすめです。
補助金ポータル「都道府県から探す補助金・助成金一覧【まとめ】」
IT導入補助金は対象外
「IT導入補助金」は、企業のITツールの導入費用を支援してもらえる補助金制度です。2023年まで越境EC事業も支援の対象でしたが、2024年現在は対象外へと変更されています。「インボイスに対応した会計・受発注・決済機能を有するソフトウェアが対象」とありますが、残念ながらECサイトの構築では利用できないため注意しましょう。
越境ECで補助金を活用するメリット
越境EC事業において補助金を活用するメリットは以下の通りです。
事業拡大のハードルが下がる
ランニングコストの負担軽減
返還しなくていい
新しい事業を始める際は、なるべく低いリスクで挑戦したいものです。越境EC事業に補助金制度を活用すれば、初期費用が削減できるため参入のハードルが低くなります。
事業拡大のハードルが下がる
越境ECにおいて、補助金の対象となる主な経費は以下の通りです。
ECサイト構築や運用システムの導入費
在庫管理システムの導入費
CRM(顧客管理)システムの導入費
データ分析ツールの導入費
ネット広告費(一部対象外)
ITツール利用支援サービス使用料
専門家経費・外注費 など
上記のコストがカットできれば、海外に事業・販路を拡大するリスクも軽減できるでしょう。補助対象となる経費は制度ごとに細かく定められているため、詳しい内容については申請窓口などに問い合わせてみることをおすすめします。
ランニングコストの負担軽減
越境EC事業を展開すると、以下のようなさまざまなランニングコストも必要になります。
ECサイト運用経費
商品の梱包・配送にかかる費用
通関手続き費用
翻訳・マーケティング費用 など
とくに参入直後は売上が発生しにくいため、予算によっては厳しい状況が続くかもしれません。補助金を経費の足しにできるのは大きなメリットとなるでしょう。
返還しなくていい
補助金はローンではないため、原則返還する必要はありません。助成金や給付金のように、自己資金の負担を減らせるメリットがあります。使用用途が特定されており、申請要件や確定審査をクリアする必要はありますが、一度採択されれば自己資金として活用できるのが特徴です。
越境ECで補助金を活用するデメリット
越境EC事業に補助金を活用する際は、以下のデメリットに留意する必要があります。
申請の手間がかかる
100%受給されるわけではない
補助金の交付は事業後になる
先述したメリットと比較して、活用すべきかどうか判断してください。
申請の手間がかかる
補助金制度は、給付金や助成金とは異なり、申請や承認に手間がかかるデメリットがあります。補助金受給の申請には、事業計画書や提出書類の作成が必要です。補助金の種類によってはこの準備に時間がかかるケースも多いため、計画的におこなわなければなりません。さらに、補助金の支給後も、継続して事業の経過報告を義務付けている制度もあります。
ただし、事業の見直しや経営計画を立てることは、決して無駄なことではありません。補助金受給の有無にかかわらず、経営をよりよくするための機会だと捉えましょう。
100%受給されるわけではない
補助金は100%受給できるものではありません。申請さえすれば受給できる助成金とは異なるシステムであるため、折角手間をかけて申請したとしても、採択されないケースももちろんあります。
受給対象になりやすい事業計画書のポイントは以下の通りです。
補助金の用途を数字や目標で具体化する
実現可能性のある計画にする
社会貢献性をアピールする
補助内容の変更に注意する
また、対象となる補助金制度の趣旨をしっかり理解することも大切になるでしょう。事業の趣旨や活用目的が制度の趣旨から外れている場合は、どんなにいい計画書を提出したとしても採択されない可能性が高いです。
補助金の交付は事業後になる
大半の補助金は後払いになるため、事業開始時にはまとまった自己資金が必要になるでしょう。補助金を最初から予算に組み込んでしまうと、途中で資金不足に陥ってしまうため、十分注意してください。万が一採択されなかったことも考慮して、初期費用はしっかり用意しておくことが大切になります。
補助金選びで重視すべき4つのポイント
越境ECに活用する補助金選びにおいて、着目すべきポイントは以下の4つです。それぞれ詳しくみていきましょう。
募集期間
補助対象経費と補助率
採択率
申請手続きの負担
募集期間
補助金制度を選ぶ際は、まず現在募集しているかどうかや、締切がいつまでなのかをチェックしましょう。制度によっては募集回数が少なかったり、今年度は既に終了してしまっていたりするケースもあります。
また、募集が終わっている場合でも、毎年いつ頃に募集がかかっているのか確認しておくといいでしょう。次回の募集時に漏れなく対応できるので、しっかり最新情報をチェックしておくことが大切です。
補助対象経費と補助率
補助金を選ぶ際は、支給される総額よりも「補助対象経費」や「補助率」に着目しましょう。補助金は、制度ごとに使用用途や目的が定められているため、補助対象となる経費以外に使ってしまうと支援の対象外となってしまいます。
また補助率は、制度やコースによって割合が異なるので注意が必要です。「補助率最大2分の1」のものよりも、「最大3分の2」のほうが活用できる補助金の金額は大きくなります。
採択率
補助金制度は、採択されなければ支援を受けることはできません。採択率は補助金の種類や申請時期によって変動するため、採択率がより高いものを選ぶことも大切です。補助金の採択率は公式サイトでチェックできるので、公募要項とあわせてチェックしておきましょう。以下に最新の採択率と過去平均の採択率を掲載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
補助金制度 | 過去採択率 |
---|---|
ものづくり補助金制度 | 第15回:50.2%(過去平均52.6%) |
小規模事業者持続化補助金(一般型) | 第13回:57.0%(過去平均62%) |
事業再構築補助金 | 第10回:48.1%(過去平均47%) |
参照:ものづくり補助金総合サイト「ものづくり補助事業公式ホームページ」/中小企業庁「小規模企業支援」/事業再構築補助金「採択結果」
申請手続きの負担
申請手続きにどの程度負担やコストがかかるのかも、しっかり把握しておくといいでしょう。中にはすぐに申請が通るものもありますが、経営計画書や複数の書類提出が求められるケース、いくつかのステップを経て申請が完成するケースなどさまざまです。募集期間までがタイトだと、準備に時間を掛けていられない可能性も出てきます。
また、採択された後も、定期的に補助金の使い先や経営状況の報告義務がある補助金制度も存在するため、注意が必要です。
越境ECに活用できる補助金制度申請の流れ
ここからは、越境ECに活用できる補助金制度の申請方法についてみていきましょう。一般的な補助金制度申請の流れは以下の通りです。
利用申請と書類提出
採択結果の通知
補助事業の開始
実績や経過報告
補助金の交付
利用申請と書類提出
補助金制度を利用するには、まず利用申請をおこない審査を受ける必要があります。種類やコースによって提出書類や募集期間が変動するため、しっかりリサーチしておくことが大切です。公募要領をを確認する際は、申し込み方法や注意事項もあわせてチェックしておきましょう。
必要書類を揃えたら、期間内に事務局へと提出します。近年では電子申請が一般的ですが、書面による郵送の場合もあるため注意しましょう。申請時に判断に迷うことがあれば、以下の認定支援機関に相談するのがおすすめです。
「よろず支援拠点」
採択結果の通知
補助金の利用申請後は、事務局から採択・不採択の結果通知があります。採択された場合は、のちに事業の実績をまとめた「交付申請」が求められるため、事業の遂行とあわせて報告に必要なデータをしっかり記録していきましょう。
補助事業の開始
利用申請で「採択」となった場合は、申請した内容に沿って事業を展開していきます。申請当初と事業内容に変動がある場合は、事前に手続きが求められるため注意してください。また、実際に補助金が支払われるのは事業が開始した後になります。そのため、初期費用は自己資金や融資などで用意する必要があるでしょう。
実績や経過報告
事業を展開しながら、交付申請に必要な実績のデータや必要書類をまとめていきます。補助金の交付対象経費に関連する領収書・書類などは、抜け漏れなく保管しておいてください。また、申請した制度の種類によっては、経過報告が求められるケースもあります。
補助金の交付
補助金の交付を受けるためには、越境EC事業にかかった費用のデータをまとめて報告する「交付申請」をおこなう必要があります。交付申請は大抵1~2ヵ月程度で結果が出ますが、内容に不備があると差し戻しとなるため注意しましょう。
差し戻しは1~2回で済むケースもあれば、何度も再申請が求められるケースもあります。この交付申請が通って初めて補助金が振り込まれる形です。交付申請に通ったら、確定した金額に基づいた請求書を作成し、所管官庁へ提出します。
越境ECで補助金を利用する際の注意点
越境EC事業において、補助金を利用する際に注意すべきポイントは以下の3点です。
自社が補助金の要件や趣旨に合っているか確認する
事業にかかる支出を実施期間内に収められるか確認する
新規ドメインの取得は申請後におこなう
上記を把握せずに申請してしまうと、申請に通っても補助金が支給されない可能性があるため、しっかり把握しておきましょう。
自社が補助金の要件や趣旨に合っているか確認する
利用したい補助金制度の要件や趣旨を確認する際は、自社が申請対象かどうか、事業の取り組みが補助金制度の目的や趣旨に合っているかどうか念入りにチェックしておきましょう。補助金制度によっては、事業所の所在地が業種など、細かく条件があるケースもあります。
事業にかかる支出を実施期間内に収められるか確認する
補助金には、それぞれ実施期間が定められています。対象経費であっても、実施期間外の経費は補助金の支給対象外になるため注意が必要です。事業の具体的な実施期間は、補助金制度の申請が採択された後に決まります。補助金で補填したい経費は、この実施期間内に収めるよう調整しなけれなりません。
新規ドメインの取得は申請後におこなう
補助金制度に申請する前や採択される前にドメインを取得してしまうと、対象外になるため注意が必要です。越境ECサイトの構築で補助金を活用したい場合は、採択が決定してからドメインを取得してください。
越境EC補助金に関するよくある質問
最後に、越境EC補助金に関するよくある質問を紹介します。
越境ECの支援サービスについて知りたいです。
越境ECの国別ランキングが知りたいです。
Shopeeに日本から出店する方法を教えてください。
shopifyに日本から出店する方法を教えてください。
BtoB越境ECの勝ち筋が知りたいです。
アメリカ越境ECの勝ち筋が知りたいです。
越境ECの支援サービスについて知りたいです。
越境ECの支援サービスについては、以下の記事で解説しています。
「越境EC支援サービスの選び方!最適なプラットフォーム・パートナー選びが成功のコツ」
越境ECの国別ランキングが知りたいです。
越境ECの国別ランキングや東南アジアのECについては、以下の記事をご覧ください。
「【2024年版】越境ECの国別ランキング9選!要注目の東南アジアのECも解説!」
Shopeeに日本から出店する方法を教えてください。
Shopeeの出店方法や勝ち筋については、以下の記事を参考にしてください。
「【Shopee出店ガイド】日本からの出品方法紹介|アカウント作成手順や注意点」
「東南アジア最大のECモールShopeeとは?越境ECでのメリットや勝ち筋も解説」
Shopifyに日本から出店する方法を教えてください。
Shopifyの始め方や出店のメリットについては、以下の記事を参考にしてください。
「【越境EC】Shopifyを始める手順や注意点|出店のメリットや勝ち筋も徹底解説」
BtoB越境ECの勝ち筋が知りたいです。
BtoB越境ECの勝ち筋やメリットについては、以下の記事で紹介しています。
「BtoB越境EC参入のススメ|メリットや課題・成功するための勝ち筋について解説」
アメリカ越境ECの勝ち筋が知りたいです。
アメリカ越境ECの勝ち筋については、以下の記事で解説しています。
「【アメリカ越境EC】2024年最新の米国EC市場!ビジネスに参入するためのポイントについて解説」
越境ECのコンサル&戦略立案はTheDigitalXまでご相談ください
補助金制度の内容や採択率は、年度ごとに異なります。現在の補助内容もいつまで続くかわからないため、活用を検討している方は早めの申請を心掛けましょう。
弊社TheDigitalXには、越境EC支援事業に18年間携わってきた実績がございます。現地のマーケターと共同でサポートをおこなうため、貴社のニーズに合った戦略立案や、現地にマッチした的確なローカライズが可能です。越境EC事業に不安のある方は、ぜひ一度ご相談ください。
SNS Share!!