2025年1月9日
【2024年最新】越境EC事業に使える補助金制度一覧|活用のメリットや注意点をご紹介
補助金は、政策目標に沿った事業を展開する中小企業に対し、国や自治体がその取り組みを支援する制度です。これから越境EC事業に参入しようと考えている方の中には、補助金制度の活用を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、越境事業を支援して18年の実績を持つ弊社TheDigitalXが、以下の疑問を解決していきます。
「2024年現在、越境EC事業に活用できる補助金制度は?」
「補助金制度を越境EC事業に活用するメリットとデメリットは?」
さらに、補助金制度を選ぶ際の注意点や、選び方のコツについても解説しますので、ぜひ参入時の参考にしてみてください。
越境EC事業に利用できる補助金の種類
補助金は、行政が中小企業の事業促進・活性化のために支給するお金であり、その多くは返済不要であることが多いです。ただし、必要経費のすべてが賄えるわけではないため、補助の割合や上限についてはしっかり確認しておくことが大切になります。
2024年9月現在、活用できる主な補助金制度は以下の4つです。
ものづくり補助金
小規模事業者持続化補助金
事業再構築補助金
自治体独自の補助金
以前は「IT導入補助金」も越境EC事業に活用できましたが、現在は募集を終了しています。年度ごとに制度内容は変更されるため、必ず公式サイトを確認するようにしてください。
まずは、越境EC事業に活用できる主な補助金の種類について詳しくみていきましょう。
ものづくり補助金
「ものづくり補助金」と呼ばれる「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」制度は、電子申請システムのみで受け付けている補助金です。主に、中小企業が事業の拡大・維持・向上のためにおこなう制度変更を支援する目的で給付されています。
支援類型は大きく3つありますが、越境ECで活用できるのは「グローバル枠」です。
種類 | グローバル枠 |
---|---|
補助額 | 3,000万円(3,100~4,000万円) |
補助率 | 2分の1(小規模・再生事業者は3分の2) |
対象経費 | 機械装置・システム構築費 運搬費 技術導入費 知的財産権等関連経費 外注費 専門家経費 クラウドサービス利用費 原材料費 海外旅費 通訳・翻訳費 広告宣伝・販売促進費 など |
参照:ものづくり補助金総合サイト「公募要領(18次締切)」
設備投資に利用できる補助金なので、越境ECの構築におけるツール導入・設備投資に活用できます。ただし、補助期間は交付開始から10ヶ月間のため、計画的に活用しましょう。
現在今年度の公募は終了しており、来年度については未定となっています。詳しい条件や最新情報については、以下の公式サイトを参考にしてください。
小規模事業者持続化補助金
全国商工会連合会が給付する「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者の販路開拓・生産性向上を目的とした補助金制度です。商工会議所の管轄地域に所在する事業者のうち、商業・サービス業・宿泊業・娯楽業・製造業その他が対象となります。
越境EC事業に活用できる申請類型は全5種類です。「通常枠」の他に4種類の「特別枠」があります。
種類 | 通常枠 | 特別枠 |
---|---|---|
補助額 | 50万円 | 200万円 |
補助率 | 3分の2 | 3分の2(一部4分の3) |
対象経費 | 機械装置等費 広報費 ウェブサイト関連費 展示会等出店費 旅費 開発費 資料購入費 雑役務費 借料 設備処分費 委託・外注費 など | 機械装置等費 広報費 ウェブサイト関連費 展示会等出店費 旅費 開発費 資料購入費 雑役務費 借料 設備処分費 委託・外注費 など |
参照:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」
給付を受けるためには自社の経営を見直し、持続可能な「経営計画」の作成が必要です。対象経費にはECサイトの構築・更新・改修にかかる一部費用も含まれています。
現在今年度の公募は終了しており、来年度の予定については発表されていません。詳しい条件や最新情報については、以下の公式サイトを参考にしてください。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、中小企業の新分野展開、事業や業種・業態の転換、事業再編などを支援する補助金制度です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会において、中小企業の事業再構築を支援することで、日本経済の回復・発展を促すことを目的としています。
たとえば、toB向けの事業をtoC向けに転換する、店舗販売のみの商品をEC展開するなどが該当する形です。ECサイトの構築のみが目的だと申請に通らないため注意しましょう。
以下は越境EC事業に活用できる主な公募枠です。
種類 | 成長分野進出枠 | コロナ回復加速化枠 |
---|---|---|
補助額 | 通常類型:3,000万円 GX進出類型:5,000万円~1億円 | 通常類型:2,000万円 最低賃金類型:1,500万円 |
補助率 | 中小企業:2分の1~ 中堅企業:3分の1~ | 通常類 型 中小3分の2、中堅2分の1 最低賃金類型 中小4分の3(一部3分の2) 中堅3分の2(一部2分の1) |
対象経費 | 建築費 機械装置・システム構築費 技術導入費 外注費 専門家経費 広告宣伝費 販売促進費 研究費 など | 建築費 機械装置・システム構築費 技術導入費 外注費 専門家経費 広告宣伝費 販売促進費 研究費 など |
参照:経済産業省「事業再構築補助金第12回公募の概要」
申請時には、認定経営革新等支援機関から事業計画書の確認を受ける必要があります。また、補助事業終了後の3~5年のうちに、「付加価値額の年平均成長率3~5%」などの条件を達成しなければなりません。
現在、2024年10月6日まで第10回の公募を受け付けています。詳しい条件や次回公募については、以下の公式サイトを参考にしてください。
「事業再構築補助金」
自治体独自の補助金
先述した補助金制度は国が主体となって支援をおこなうものですが、都道府県によっては自治体が主体となって支援しているところもあります。たとえば青森県弘前市では、海外向けのECショップ出店事業を補助対象とした「青森県輸出市場販路開拓・拡大支援事業費補助金」をおこなっていました。(現在は募集終了)
所轄の自治体で越境ECに活用できる補助金制度があるかどうかは、以下の補助金ポータルサイトで検索できます。また、自治体に直接問い合わせてみるのもおすすめです。
補助金ポータル「都道府県から探す補助金・助成金一覧【まとめ】」
IT導入補助金は対象外
「IT導入補助金」は、企業のITツールの導入費用を支援してもらえる補助金制度です。2023年まで越境EC事業も支援の対象でしたが、2024年現在は対象外へと変更されています。「インボイスに対応した会計・受発注・決済機能を有するソフトウェアが対象」とありますが、残念ながらECサイトの構築では利用できないため注意しましょう。
越境ECで補助金を活用するメリット
越境EC事業において補助金を活用するメリットは以下の通りです。
事業拡大のハードルが下がる
ランニングコストの負担軽減
返還しなくていい
新しい事業を始める際は、なるべく低いリスクで挑戦したいものです。越境EC事業に補助金制度を活用すれば、初期費用が削減できるため参入のハードルが低くなります。
事業拡大のハードルが下がる
越境ECにおいて、補助金の対象となる主な経費は以下の通りです。
上記のコストがカットできれば、海外に事業・販路を拡大するリスクも軽減できるでしょう。補助対象となる経費は制度ごとに細かく定められているため、詳しい内容については申請窓口などに問い合わせてみることをおすすめします。
ランニングコストの負担軽減
越境EC事業を展開すると、以下のようなさまざまなランニングコストも必要になります。
とくに参入直後は売上が発生しにくいため、予算によっては厳しい状況が続くかもしれません。補助金を経費の足しにできるのは大きなメリットとなるでしょう。
返還しなくていい
補助金はローンではないため、原則返還する必要はありません。助成金や給付金のように、自己資金の負担を減らせるメリットがあります。使用用途が特定されており、申請要件や確定審査をクリアする必要はありますが、一度採択されれば自己資金として活用できるのが特徴です。
越境ECで補助金を活用するデメリット
越境EC 事業に補助金を活用する際は、以下のデメリットに留意する必要があります。
申請の手間がかかる
100%受給されるわけではない
補助金の交付は事業後になる
先述したメリットと比較して、活用すべきかどうか判断してください。
申請の手間がかかる
補助金制度は、給付金や助成金とは異なり、申請や承認に手間がかかるデメリットがあります。補助金受給の申請には、事業計画書や提出書類の作成が必要です。補助金の種類によってはこの準備に時間がかかるケースも多いため、計画的におこなわなければなりません。さらに、補助金の支給後も、継続して事業の経過報告を義務付けている制度もあります。
ただし、事業の見直しや経営計画を立てることは、決して無駄なことではありません。補助金受給の有無にかかわらず、経営をよりよくするための機会だと捉えましょう。
100%受給されるわけではない
補助金は100%受給できるものではありません