2024年8月28日
海外向けリスティング広告の運用方法|出稿のメリットデメリットや勝ち筋を紹介
リスティング広告は、日本に居ながら低コストでマーケティングがおこなえるので、海外進出に最適な手法です。ただし、国内に出稿するのとは状況が異なるため、効果的に運用するには工夫が必要になります。
「海外においてリスティング広告が有効である理由は?」
「海外へのリスティング広告出稿のメリットとデメリットが知りたい」
「海外リスティング広告出稿に最適な検索エンジンは?」
この記事では、デジタルマーケティングのプロフェッショナルであるTheDigitalXが、上記の疑問を解決していきます。海外リスティング広告の勝ち筋や注意点についても解説しますので、マーケティング手法に悩んでいる方や、リスティング広告の運用方法を検討している方は必見です。
海外におけるリスティング広告の重要性
リスティング広告は、検索エンジン上でユーザーが検索したキーワードに連動して表示される広告です。ユーザーにクリックされると広告主に料金が請求されるのが特徴で、料金を支払えば検索結果の上部に表示することができます。
リスティング広告が海外へのマーケティングにおいて重要視される理由は、オーガニックな「検索連動型広告」であるためです。アメリカなどのIT先進国では、インターネット上の恣意的な情報操作を嫌い、広告をブロックしているユーザーが多い傾向があります。
一方、リスティング広告はユーザーの検索行動に連動して自然に表示されることから、ほかの広告よりも嫌悪感なく受け入れられやすいのです。
日系企業が海外にリスティング広告を出稿するメリット
まずは、日系企業が海外にリスティング広告を出稿するメリットから紹介していきます。
日本国内から販路拡大が狙える
海外進出のハードルが低い
検索ユーザーへ直接訴求できる
即効性がある・必要な時期に出せる
日本に居ながら低コストで即効性が狙えるリスティング広告は、海外進出に欠かせないマーケティング手法です。それぞれ詳しくみていきましょう。
日本国内から販路拡大が狙える
リスティング広告を出稿する大きなメリットは、日本国内から簡単に海外市場への販路拡大が狙えることです。現地に赴く必要がなく、日本にいながら自社製品やサービスに関心を持つ海外のターゲット層に直接アプローチできます。
リスティング広告は、検索エンジンで関連キーワードを検索するユーザーに対し、即座に広告を表示できるのが特徴です。迅速に認知度を高めながら効果的に集客でき、SEOよりも早く結果を出せる点でも優れています。
海外進出のハードルが低い
リスティング広告を活用するメリットとして、海外進出のハードルが低い点も挙げられます。リスティング広告は少ない予算から始められ、広告費用の上限を設定すれば簡単に予算管理が可能です。
また、社会情勢や自社の都合で広告停止が必要になった場合も、クリック1つで簡単に停止できます。この柔軟性により、リスクを抑えつつ手軽に海外市場に進出できるため、小規模な企業でもチャレンジしやすいマーケティング手法です。
検索ユーザーへ直接訴求できる
リスティング広告は、検索ユーザーへ直接訴求できる点でも優れています。検索エンジンを利用するユーザーは特定の情報を探してアクセスしているため、その検索キーワードに基づいた広告を表示することで、ユーザーのニーズに合った情報を提供できるのです。
これにより、合理的かつ効率的に自社のサービス・商品を「必要な情報」として伝えられるので、より確度の高いターゲット層にリーチできます。
即効性がある・必要な時期に出せる
リスティング広告には即効性があり、必要な時期に柔軟に対応できるというメリットもあります。入稿後すぐに表示されるだけでなく、SEOのように効果が出るまで数か月を要することもありません。
また、審査期間や媒体の掲載期間に縛られることもなく、急な出稿や期間限定のキャンペーンにも対応可能です。出稿停止も簡単におこなえるため、時期に合わせた効果的な集客ができます。
海外にリスティング広告を出稿するデメリット
海外向けにリスティング広告を出稿する際は、メリットだけでなく以下のデメリットにも留意することが重要です。
潜在層向けのアプローチには向かない
ビジュアル訴求には向かない
リスティング広告のみでは費用対効果が低い
潜在層向けのアプローチには向かない
リスティング広告は、検索キーワードに連動して広告を表示するため、主に顕在層向けのアプローチに適しています。具体的なニーズを持つユーザーに効果的に訴求できる一方で、幅広い潜在層へのアプローチには不向きです。
潜在層にアプローチする場合は、キーワード広告だけでなくディスプレイネットワークやターゲティング広告など、ほかの広告手法を組み合わせる必要があります。このため、リスティング広告だけでは新たな需要を喚起するのが難しい点がデメリットです。
ビジュアル訴求には向かない
リスティング広告はテキストがメインの広告であるため、言語リテラシーの高いユーザー層へのアプローチに適したマーケティング手法です。娯楽ツールとしてネットサーフィンしている、あるいはコミュニケーションツールとして活用しているユーザー層には、残念ながら届きにくいというデメリットがあります。
調べものや情報収集目的でない、娯楽目的のユーザーには、動画や画像などのメディアをメインとしたビジュアル訴求が効果的です。
リスティング広告のみでは費用対効果が低い
海外への出稿に限らず、リスティング広告はPDCAサイクルによるブラッシュアップが基本です。さらに近年では、以下のようなさまざまな理由から、リスティング広告だけで費用対効果を期待するのが難しくなってきています。
広告主の増加や飽和
ユーザーのネットリテラシー向上
商品やサービスの多様化による比較の激化 など
そのため、ほかの広告手法やマーケティング戦略と併用し、総合的に施策をおこなう必要があるのです。
海外リスティング広告出稿におすすめの媒体5選
ここからは、海外のリスティング広告出稿に最適なおすすめの検索エンジンを紹介していきます。
Google(グーグル)
Yahoo!(ヤフー)
Naber(ネイバー)
百度(baidu)
Yandex(ヤンデックス)
Google(グーグル)
「Google」は、世界的に圧倒的なシェアを持つ検索エンジンで、アメリカや日本をはじめ多くの国で利用されています。とくに欧米諸国ではシェア率が高く、アメリカでは92.26%です。多言語対応とシンプルな使いやすさで評価されています。
リスティング広告は、「GoogleAdWords」を利用することで簡単に出稿可能です。ターゲット国を指定すれば、海外ユーザーにもアプローチできます。広告出稿には審査がありますが、日本語でのサポートが提供されているため、日本からでもスムーズに運用できるでしょう。
Yahoo!(ヤフー)
「Yahoo!」は、日本では「Yahoo!JAPAN」として広く認知されており、香港では6.4%・台湾でも5.95%と一定のシェア率を誇っています。ただし、世界全体では1.58%とやや低めです。
Yahoo!リスティング広告を海外向けに出稿する際には、Microsoftの「Bing Ads」を利用します。日本からのアカウント開設は可能ですが、英語のみの対応となるため、言語面での対応が必要です。審査や条件についても、英語での手続きが求められます。
NAVER(ネイバー)
「NAVER」は韓国でシェア率No.1を誇る検索エンジンで、韓国内では15.9%のシェアを持っています。NAVERでリスティング広告を出稿する場合、日本からの直接出稿は難易度が高いです。韓国の銀行口座の登録が必要となり、管理画面は韓国語のみ対応となります。
このため、NAVERでの広告出稿を検討する際は、韓国市場に詳しい広告代理店やマーケターのサポートを受けるのがおすすめです。審査や条件も韓国語での対応が求められるため、専門知識が必要になるでしょう。
百度(baidu)
「百度(Baidu)」は、中国で74.95%のシェアを持つ最大の検索エンジンで、中国市場へのアプローチには不可欠な媒体です。しかし、日本からのリスティング広告出稿は非常に難しく、中国本土の銀行口座の登録や厳しい審査が必要になります。
さらに、管理画面やサポートはすべて中国語で提供されるため、中国語に精通していないと運用が困難です。そのため、Baiduでの広告出稿を希望する場合は、中国市場に詳しい広告代理店やマーケターのサポートを受けることが推奨されます。
Yandex(ヤンデックス)
「Yandex」は、ロシア語圏の国々でシェア率が高く、ロシア市場では58.38%を占める主要な検索エンジンです。ヨーロッパ全体でも3位に位置します。
リスティング広告は、Yandexが提供する広告サービス「Yandex.Direct」を利用することで配信可能です。Yandex.Directでは、テキスト広告やテキストと画像を組み合わせた広告を出稿できます。審査や条件についてはロシア市場向けに特化した内容となるため、市場への理解が必要不可欠です。
【勝ち筋】海外リスティング広告出稿を成功させるコツ
ここからは、海外リスティング広告出稿の勝ち筋を紹介していきます。
リスティング広告の戦略を練る
リスティング広告のターゲット国を選定する
ターゲット国における独自の検索習慣を把握する
ターゲット国でシェア率の高い検索エンジンに出稿する
リスティング広告の戦略を練る
海外リスティング広告を成功させるためには、まず事前に戦略を練ることが不可欠です。3C(顧客・競合・自社)分析をおこない、広告を出したい商材の特徴と具体的なターゲットを明確にします。ターゲット国での競合他社や市場環境を把握し、自社の優位性を広告にどう活かすか戦略を練ることが大切です。
媒体がGoogleの場合は、「プレビューと診断ツール」という機能が使えます。これらのツールを活用して競合の広告を分析し、その情報を基に効果的な広告文章やクリエイティブに活かすことで、成功率を高めることができるでしょう。
リスティング広告のターゲット国を選定する
海外リスティング広告の成功には、ターゲット国の選定が重要です。ターゲットを広げすぎると効果が分散し、ニーズを捉えにくくなります。まず、自社の外国語Webサイトがある場合は、アクセスデータを分析し、流入や問合せが多い国を選定すると効果的です。
また、海外の顧客と接点がある担当者から、現地のニーズをヒアリングするのも有効でしょう。データがなく見当がつかない場合は、Googleの「マーケットファインダー」や「広告キーワードプランナー」を活用して、適切なターゲット国を見出すことが推奨されます。
ターゲット国における独自の検索習慣を把握する
海外リスティング広告を成功させるためには、ターゲット国ごとの独自の検索習慣を把握することが成功のカギを握ります。検索習慣は言語や文化の違いによって生まれるため、国や地域ごとに異なるのが特徴です。
日本や韓国 | 単一の言語の組み合わせで検索する傾向 |
---|---|
アメリカなど欧米諸国 | ロングテールの検索KWが多い |
例えば、日本や韓国では「東京 グルメ」のように単一の言語で検索するのが一般的です。一方、欧米では「What to eat in Tokyo」のようにフレーズで検索することが多い傾向があります。ターゲット国の検索習慣を理解すれば、より効果的なキーワード設定や広告配信が可能です。
ターゲット国でシェア率の高い検索エンジンに出稿する
現地のユーザーに効率的にアプローチし、広告効果を最大化するためには、ターゲット国でシェア率の高い検索エンジンに出稿することが重要です。国ごとに利用される検索エンジンは異なるため、まずターゲット国で最も使われている検索エンジンを調査し、その特徴を把握する必要があります。
検索エンジンを調査する際は、より正確な情報を把握するため、ターゲット国のネイティブ言語で調査するのが好ましいです。海外が主流の媒体における日本向けの情報は少ないので十分注意しましょう。各国の主要検索エンジンについては、以下の記事も参考にしてください。
「【2024年版】アメリカの検索エンジンTOP4|日本との比較とSEOマーケティングのコツ 」
「韓国検索エンジントップシェア4選!NAVERの活用法やGoogleとの違いをご紹介 」
「タイの検索エンジンランキングTOP5!タイのSEOを攻略するポイントとは?」
「【2024年版】インドネシアで人気の検索エンジンと利用状況を解説」
「【2024年2月】シンガポールの検索エンジンランキングTOP5 | Google?bing?Yahoo? 」
海外リスティング広告出稿時の注意点
最後に、海外リスティング広告出稿時の注意点や、日系企業がつまづきやすいポイントについて紹介していきます。
ターゲット国や地域における広告ルールを理解する
ターゲット国にローカライズした翻訳・言語設定をする
確実性の高いKWからスモールスタートする
ターゲット国や地域における広告ルールを理解する
海外リスティング広告を出稿する際には、ターゲット国や地域の広告ルールをしっかり理解することが重要です。各国には、日本の薬機法や景表法のように、広告に関する独自の法律や規制があります。
これらを無視して広告を配信すると、法律違反やポリシー違反となり、広告の停止や罰則が科される可能性があるため十分注意しましょう。事前にターゲット国の広告ルールを調査しておき、リスクヘッジすることが求められます。
ターゲット国にローカライズした翻訳・言語設定をする
文化や言語に配慮したローカライズは、ターゲット市場での成功に直結する重要な要素です。ターゲットとする国や地域には、独自の公用語や文化的なニュアンスが存在するため、それを正確に理解しネイティブな翻訳をすることが求められるでしょう。
たとえば、アメリカの公用語は英語ですが、スペイン語の話者も5,000万人以上存在します。また、台湾では中国語に加え台湾語や客家語も使用されており、スイスやカナダでは複数の公用語が共存しているのが現状です。そのため、広告やWEBページの言語設定は、ターゲット地域やユーザーの利用シーンに応じて適切におこなう必要があります。
さらに、広告文言に関しては、適切にローカライズされた表現を使用しているかどうかが重要です。現地のネイティブスピーカーによるチェックを受け、現地人にとって違和感のある言い回しやNGワードはないかなど、念入りに確認しておくことをおすすめします。
確実性の高いKWからスモールスタートする
海外リスティング広告を成功させるためには、確実性の高いキーワードからスモールスタートすることが重要です。とくに初めての海外広告出稿では、以下のキーワードに絞って運用を開始するのがいいでしょう。
自社商品やサービスに関連性の高いKW
検索ボリュームが高いKW
競争率が低いKW
確実性の高いキーワードに絞ることで、ターゲットに効果的にリーチし、費用対効果の高い広告運用が可能となります。効果を確認しながら徐々にキーワードの範囲を広げていくことで、リスクを抑えた広告の最適化がおこなえるでしょう。
海外リスティング広告に関するよくある質問
最後に、海外リスティング広告に関するよくある質問を紹介します。
ベトナムリスティング広告の現状を教えてください。
アメリカのデジタルマーケティングのトレンドは?
タイのデジタルマーケティング市場とトレンドが知りたいです。
韓国におけるデジタルマーケティングのトレンドは?
インドネシアにおけるデジタルマーケティングのトレンドを教えてください。
ベトナムリスティング広告の現状を教えてください。
ベトナムにおけるリスティング広告の利用率については、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年版】ベトナムのリスティング広告の状況|デバイス別で利用率と利用時間を紹介」
アメリカのデジタルマーケティングのトレンドは?
アメリカにおけるデジタルマーケティングのトレンド情報は、以下の記事で解説しています。
「【2024年版】アメリカのデジタルマーケティングトレンド | データを参考に解説 」
タイのデジタルマーケティング市場とトレンドが知りたいです。
タイにおけるデジタルマーケティングのトレンド情報は、以下の記事で解説しています。
「【2024年版】タイのデジタルマーケティングトレンド | 調査データ参考に解説 」
韓国におけるデジタルマーケティングのトレンドは?
韓国のデジタルマーケティングにおけるトレンド情報は、以下の記事を参考にしてください。
「【2024年版】韓国のデジタルマーケティングトレンド | データを基に最新情報を解説」
インドネシアにおけるデジタルマーケティングのトレンドを教えてください。
インドネシアにおけるデジタルマーケティングのトレンド情報については、以下の記事をご覧ください。
「【2024年版】インドネシアのデジタルマーケティングのトレンドを紹介」
海外向けリスティング広告の戦略立案&コンサルならTheDigitalXまでご相談ください
海外向けリスティング広告の勝ち筋は、入念なリサーチとデータ分析から、自社の競合優位性を把握することです。さらに、ターゲット国における検索習慣やネイティブ言語を把握し、広告に反映させることが大切になります。
弊社TheDigitalXでは、デジタルマーケティングに18年以上携わってきた実績から、貴社に最適な戦略の立案とローカライズが可能です。現地のマーケターによるネイティブな視点からアドバイスがおこなえるため、海外進出に不安のある方はぜひ一度ご相談ください。
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