2024年9月3日
【2024年最新】東南アジアマーケティングのトレンド情報と勝ち筋|オンライン・オフライン双方へのアプローチがコツ
東南アジアは、近年急速に成長してきている注目の市場です。円安の影響や国内市場の飽和から、海外への販路拡大を検討している方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デジタルマーケティングや越境支援のプロフェッショナルの観点から、弊社TheDigitalXが以下の疑問を解消していきます。
「東南アジアマーケティングの現状は?」
「東南アジアの消費者における特徴は?」
「オフラインマーケティングの勝ち筋が知りたい」
「デジタルマーケティングのトレンドが知りたい」
さらに、東南アジアマーケティングの勝ち筋や先行企業の成功事例もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
東南アジアのマーケティング基礎データ
参照:IMF「アジア太平洋地域経済見通し: 見通しがばらつく中での着実な成長」
参照:WORLD BANK GROUP「一人当たりGDP(現在の米ドル) - インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、世界」
世界の経済成長率が飽和し鈍化傾向にある中で、東南アジア諸国は現在も成長し続けている伸び代のある市場です。国際通貨基金(IMF)の成長率予測では、インド・フィリピン・ベトナムが6%台、インドネシアが5.1%、マレーシアが4.4%と高い数値で推移する見通しがあります。一方、日本は1.0%と低い推移率です。
また、東南アジアでは経済成長に伴い、個人消費も活発化しています。今後の成長が期待される注目の市場だといえるでしょう。まずは、東南アジア各国の基礎データから紹介していきます。
マレーシア
面積 | 約33万k㎡ |
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人口 | 約3,350万人 |
公用語 | 国語:マレー語 公用語:中国語・タミール語・英語 |
宗教 | イスラム教・仏教・キリスト教・ヒンドゥー教 |
主要産業 | 製造業(電気機器) 農林業(天然ゴム・パーム油・木材) 鉱業(錫・原油・LNG) |
参照:外務省「マレーシア基礎データ」
マレーシアの国土は日本の0.9倍ほどです。2023年の経済成長率は前年比3.7%でしたが、2024年以降は国内需要の堅調さと外需の回復により、4.4%の成長率が期待されています。経済の基礎的な強さは維持されており、中長期的には成長の可能性が高い見通しです。
マレーシアのビジネス進出のポイントについては、以下の記事をご覧ください。
「【2024年最新版】マレーシアに進出してビジネスを成功させるためのポイント 」
タイ
面積 | 約51万4千k㎡ |
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人口 | 約6,609万人 |
公用語 | タイ語 |
宗教 | 仏教・イスラム教 |
主要産業 | 製造業 農業 観光業 |
参照:外務省「タイ王国基礎データ」
タイは日本の1.4倍ほどの国土を持っており、大多数がタイ族です。バンコクを中心に中間層や富裕層が多く、富裕層やミドルアッパー層が全体の約20%、中産階級が約40%を占めています。日本からの移動時間が5~7時間と短く、英語がビジネスの場で広く通じるため、市場参入のハードルが低いのが特徴です。
タイビジネスの基礎知識については、以下の記事をご覧ください。
「タイビジネスのススメ|進出前に知っておくべき基礎知識やメリット・デメリット 」
シンガポール
面積 | 約720k㎡ |
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人口 | 約564万人 |
公用語 | 国語:マレー語 公用語:英語・中国語・マレー語・タミール語 |
宗教 | 仏教・キリスト教・イスラム教・道教・ヒンズー教 |
主要産業 | 製造業(エレクトロニクス・化学関連・バイオメディカル・輸送機械・精密機械) ビジネスサービス 運輸・通信業 金融サービス業 |
外務省「シンガポール基礎データ」
シンガポールの国土は小さく、東京23区よりやや大きい程度です。2023年の経済成長率は1.1%でしたが、2024年以降は2.1~2.3%の見込みがあり、パンデミック後の経済復興が進んでいることが示されています。
また、シンガポールは東南アジアの中心に位置し、マラッカ海峡を活かした国際物流と輸送の「ハブ」として重要な役割を果たしている国です。まずはシンガポールでの成功体験を積み、アジア各国への横展開を目指すことが有効な戦略となります。
シンガポールに日系企業が進出するメリットについては、以下をご覧ください。
「【シンガポールビジネス】日系企業進出のメリットと成功させるコツ」
インドネシア
面積 | 約192万k㎡ |
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人口 | 約2.70億人 |
公用語 | インドネシア語 |
宗教 | イスラム教・キリスト教・ヒンズー教・仏教・儒教 |
主要産業 | 製造業(二輪車などの輸送機器・飲料品) 農林水産業(パーム油・ゴム・米・ココア・キャッサバ・コーヒー豆など) 卸売・小売業 建設業 鉱業(LNG、石炭、錫、石油など) 運輸・通信業 金融・保険業 物流・倉庫業 行政サービス・軍事・社会保障業 など |
参照:外務省「インドネシア共和国基礎データ」
インドネシアの国土は日本の5倍ほどで、幅広い産業が盛んな国です。statistaのデータによると、インドネシアは東南アジア最大の経済規模を持ち、名目GDPでは世界で17番目に位置しています。G20の主要経済国の一員であり、新興工業国に分類されている経済成長が著しい国の一つです。
政府が国有企業を統括し、市場経済を管理する体制を持つ中で、2010年以降のGDP成長率は一貫して5%を超えています。
ベトナム
面積 | 約329,241万k㎡ |
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人口 | 約1億30万人 |
公用語 | ベトナム語 |
宗教 | 仏教・カトリック・カオダイ教 |
主要産業 | 農林水産業 鉱工業・建築業 サービス業 |
参照:外務省「ベトナム社会主義共和国基礎データ」
ベトナムはかつて農業大国として知られていましたが、現在はサービス業や鉱業、建築業が成長しています。ASEANで3番目に多い人口を抱え、平均年齢31歳という若年層が多いことが特徴です。
2023年には人口が1億人を超え、今後の賃金上昇により中間層や富裕層の拡大が期待されています。経済成長率は5%以上で推移しており、安定した経済成長を続けるベトナムは、消費市場としても注目されている国です。
ベトナムビジネスの基礎知識については、以下をご覧ください。
「【2024年最新】ベトナムビジネス進出のために知っておくべき基礎知識」
東南アジアの消費者の特徴
参照:PopulationPyramid.net「アジアの人口 2021」
東南アジアの主要な消費者層はもっとも人口の多い「ミレニアル世代」です。ここからは、東南アジアにおける消費者の特徴についてみていきましょう。
主な消費者はミレニアル世代の「主婦層」
statistaの資料によると、東南アジアのEC人気カテゴリはファッション・家電・美容です。これは経済成長と共に女性が社会進出を果たし、消費・所得の水準が向上していることに関連しています。ミレニアル世代は子育てをおこなう「主婦層」であり、今後はアジアの経済成長を支える主な消費者層へと成長していく見通しです。
参照:statista「Eコマース市場規模SEA 2021-2030年、国別」
口コミや評判を重視する
東南アジアの消費者に共通しているのは、家族や友人などの「身近な人」を大切にする価値観です。そのため自分の好みだけでなく、以下の要素も購買行動を左右しています。
社会が求めているものかどうか
周りの人も買っているか
自分の選択を周りも好意的に思ってくれるか
とくにオンラインで買い物をする際は、製品購入前にレビューをチェックしたり、商品について入念な下調べをしたりする傾向です。また企業などの公的なPRよりも、インフルエンサーやブロガーなど、消費者に近い意見を信頼する特徴があります。
実店舗の需要も依然として高い
東南アジアの消費者には、オンライン上の決済システムやカード決済に不安を抱いているユーザーも依然として多い傾向です。また、オンライン上で購買行動を完結せずに、実際に店頭で手に取ってから購入する人が多いという特徴があります。
商品の下調べや口コミはインターネットやSNSを活用し、実際に購入するのはオフラインと使い分けているユーザーが多いのは、東南アジア消費者の独自な購買特性といえるでしょう。
東南アジアのオフラインマーケティングの特徴
東南アジアでは、所得による社会階層が明確に分かれており、メディアも階層ごとに分断されています。東南アジアでリーチを獲得するには、オンラインだけでなくオフライン広告も併用した「クロスメディア戦略」が必要であり、この社会階層の違いを考慮することが重要です。
中・高所得層には交通広告が有効
日本とは異なり、東南アジアでは購買力のある人ほど鉄道を利用しない傾向があります。シンガポール以外は基本車社会であり、中・高所得層へアプローチするなら交通広告が有効です。一方で、購買力の高くないユーザー層は、TVCMをよく見ています。
たとえば、国民の9割が車を所有しているマレーシアでは、道路の看板や広告が日本よりも多い特徴があります。接触頻度が高いことから刷り込み効果も期待でき、看板の先で商品が買えるような立地にすれば、カスタマージャーニーの最適な設計ができるでしょう。
ショッピングモールが有効なPR媒体に
東南アジア消費者の行動習慣として、ショッピングモールに人が集まりやすいという特徴があります。ショッピングモールにおけるイベント参加や販促活動が、知名度向上につながりやすいのです。また、購買力によってユーザーが訪れるモールが異なるため、ターゲティングしやすいというメリットもあります。
実店舗からオンラインへの動線がある
実店舗からオンラインへの動線を作る手法は、日本でもよくあるマーケティングです。東南アジアでも、「口コミを投稿したら○○%OFF」「SNSをフォローしたら1点無料」など、条件付きのセールやキャンペーンをおこなうお店が多い傾向があります。
現地では、看板・ポップ・サイネージなど、常に何かしらのポップを掲示してアピールしているお店を多く見かけました。また、SNSのフォローを促すポップも多く、現地企業はSNSへ囲い込む意識が高いのが見て取れます。
東南アジアのデジタルマーケティングの特徴
4億人を超えるインターネットユーザーと、急成長するデジタル市場が東南アジアの現状です。statistaのデータによると、ラオス・ミャンマー・東ティモールを除くすべての東南アジアの国において、インターネット普及率が70%以上であることが分かっています。
そのため、東南アジアのビジネス参入時には、デジタルマーケティングの重要性が高いことが伺えるでしょう。ここからは、東南アジアにおけるデジタルマーケティングのトレンドや特徴について解説していきます。
参照:statista「東南アジアにおけるインターネット利用 - 統計と事実」
ショート動画によるSNSマーケティング
「ショート動画」を活用したSNSマーケティングは、2023年に台頭した新しい手法です。近年では、インフルエンサーを起用したPRだけでなく、企業もショート動画を使って積極的に販促をおこなっています。マレーシアの小さな商店がTikTokのショート動画でバズった実例もあり、東南アジアではSNSの有効活用が成功のカギを握っているといっても過言ではありません。
KOLマーケティングの台頭
現地企業のマーケティング予算で占める割合が高くなってきているのが、KOLマーケティングです。KOLは、特定のスキルや知識を持った専門性のあるインフルエンサーを指します。フォロワーに対して影響力を持っている人が多く、商品のプロモーションやブランドの認知度向上に有効です。
東南アジアでKOLマーケティングをおこなう場合は、インターネットユーザーの96%をカバーするFacebook・YouTube・TikTokが主なプラットフォームとなります。ただし、国ごとに利用率やユーザー層が異なることや、KOLの得意な舞台を選ぶことが重要です。
KOLマーケティングに関する詳しい内容は、以下の記事で解説しています。
「インドネシアのKOL(インフルエンサー)マーケティングの現状と人気のKOLを紹介 」
「タイで認知拡大!KOL(インフルエンサー)マーケティング現状と注意点を解説 」
ライブコマースの利用者が急増
越境ECにおいて、ShopeeやLazadaなどのeコマースは人気が安定していますが、最近はSNSを利用したライブコマースも急速に拡大しています。発信者の影響力がCV率に直結するソーシャルコマース・ライブコマースは、KOLやインフルエンサーとも好相性です。
東南アジアでは、とくにTikTokのEC機能がユーザー数を伸ばしています。ライブコマースは商品の詳細が伝わりやすく、動画視聴者限定キャンペーンなども購買意欲を後押ししている一因です。今後は主要越境ECサイトやライブコマースを活用し、ブランドストアと現地ユーザーとのタッチポイントを作ることが重要になってきます。
東南アジアマーケティングで成功するコツ
ここからは、東南アジアマーケティングで成功するためのコツを紹介していきます。
各国の文化や価値観を理解したローカライズをおこなう
各国の主要SNSを把握する
スマホを使ったEC商法を活用する
オフラインとオンラインを併用する
各国の文化や価値観を理解したローカライズをおこなう
東南アジアでのビジネス成功には、各国の文化や価値観を理解したローカライズが重要です。宗教や生活習慣が異なるため、広告やマーケティングでは多民族性や宗教的背景への適切な配慮とローカライズが求められます。
たとえば、起用するインフルエンサーや広告に使用する言語も、ターゲットに合わせて選定しなければなりません。文化的・宗教的多様性を尊重し、きめ細かい対応をすることで、現地での信頼構築とビジネス成功が期待できます。
各国の主要SNSを把握する
東南アジアの主要SNSは、広告リーチ数の観点からいえばFacebookとYouTubeが2強です。これらは全世代から人気が高く、若い世代に限定するならTikTokも注目すべきプラットフォームだといえます。一方で、日本で人気の高いX(旧Twitter)やLINEなどは、各国ではそこまでユーザー数は多くない傾向です。
東南アジア各国のSNS事情については、以下をご覧ください。
「【2024年最新版】マレーシアの人気SNS事情を徹底解説!日本との違いを理解しよう 」
「【2024最新版】タイの人気SNS事情|マーケティング活用事例から学ぶ進出のコツ 」
「【2024年最新版】シンガポールの人気SNS事情を徹底解説!デジタルマーケティングをハックしよう」
「【2024年最新】インドネシアの人気SNS事情!日本との比較とマーケテイングに活かすコツ」
「【2024年最新】ベトナムSNSランキング|インターネット事情をマーケティングに活かすコツ」
スマホを使ったEC商法を活用する
スマホの普及率が急速に上昇している東南アジアでは、スマホを使ったEC商法が効果的です。モバイルコマース・オムニチャネル・SNSのライブコマースなど、新しい商法やプラットフォームを活用したマーケティング手法も検討するといいでしょう。
オフラインとオンラインを併用する
東南アジアの人々の消費行動を考慮すると、デジタルマーケティングだけでなく、実店舗など現地でのオフラインのアプローチも重視する必要があります。
オフライン:現地の展示会や催事場への出展、卸販売による実店舗への商品展開
オンライン:デジタルマーケティングによるプロモーション戦略(認知度向上)
たとえば上記のような戦略で、ECで売り上げを伸ばしつつ、最終的には実店舗でも売れる流れを作ることが勝ち筋となるでしょう。
【日系企業】東南アジアマーケティングの成功事例
ここからは、東南アジアマーケティングに成功した日系企業の事例を2つご紹介します。ぜひ実際にマーケティングをおこなう際の参考にしてみてください。
展示会参加で現地バイヤーとのつながりを強化
「有限会社瑞穂」は、熊野筆で有名な化粧筆などを扱う日本企業です。国内の市場縮小を受けて海外進出へ至り、東南アジアを中心に展示会への出展や英語版HPの作成、SNS戦略をおこなっています。
展示会や商談会に出席し、現地バイヤーとのつながりを獲得し強化することで、海外での知名度向上・受注実績をつくった成功事例です。社内でも直接輸出のノウハウ蓄積や、フローの効率化を図ることにより、海外からの問い合わせが殺到するレベルにまで成長させました。
中・高所得層をターゲットにした付加価値の高い商品を開発
「太陽刷子株式会社」は、ほうき・歯ブラシ・歯間ブラシなどのブラシ類を販売している日本企業です。付加価値の高いオーラルケア商品を展開しており、ASEAN諸国にも市場拡大しています。国内市場が成熟したことを受け、海外進出を決定しました。
ベトナムの中・高所得層をターゲットに、付加価値の高いオーラルケア商品を再開発したのが成功した事例です。ベトナム現地で商品を生産し、都市部のショッピングモールで展開することにより知名度向上・販売実績をつくりました。
東南アジアマーケティングに関するよくある質問
最後に、東南アジアマーケティングに関するよくある質問を紹介します。国別に分けて紹介していきますので、ターゲット国の情報をチェックしてみてください。
マレーシア
マレーシアの越境ECの市場規模を教えてください。
マレーシアの越境ECにおける現状については、以下をご覧ください。
「【2024年版】マレーシアの越境EC市場の現状|規制や税制も解説」
マレーシアにおけるWebマーケティングの現状が知りたいです。
マレーシアのWebマーケティングのトレンドについては、以下をご覧ください。
「【2024年最新版】マレーシアのWebマーケティングの現状と動向」
インドネシア
インドネシアのデジタルマーケティングの現状が知りたいです。
インドネシアのデジタルマーケティングについては、以下をご覧ください。
「【2024年版】インドネシアのデジタルマーケティングのトレンドを紹介」
インドネシアのデジタル広告事情はどうなっていますか。
インドネシアにおけるデジタル広告のトレンドや規制は、以下で紹介しています。
「【2024年版】インドネシアのデジタル広告事情と広告規制を解説」
インドネシアの人気検索エンジンを教えてください。
インドネシアの人気検索エンジンと利用状況は以下をご覧ください。
「【2024年版】インドネシアで人気の検索エンジンと利用状況を解説」
ベトナム
ベトナム越境ECに最適なプラットフォームは?
ベトナム越境ECに適したプラットフォームについては、以下をご覧ください。
「【2024年版】ベトナム市場の越境ECで人気プラットフォーム4選を紹介」
ベトナムのInstagram市場について詳しく知りたいです。
ベトナムのInstagramの利用率やインフルエンサーマーケティングについては、以下をご覧ください。
「【2024年版】ベトナムのInstagramの利用者数&インフルエンサー広告の現状を解説」
東南アジアマーケティング戦略立案はTheDigitalXまでご相談ください
東南アジアにおけるマーケティングは、オンラインとオフラインを上手く使い分けた戦略が有効です。弊社TheDigitalXでは、デジタルマーケティングや越境支援に18年以上携わってきた実績から、貴社に最適なマーケティング戦略の立案が可能です。現地のマーケターと共同でサポートし、的確なローカライズを提供いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
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